DC通達・通知

確定拠出年金法等の一部を改正する法律の一部施行等について

平成28年6月30日年企発0630第2号

平成28年6月30日年企発0630第2号

(地方厚生(支)局長あて 厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課長)

確定拠出年金法等の一部を改正する法律(平成28年法律第66号)が平成28年6月3日に公布され、これに伴い、確定拠出年金法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成28年政令第245号)及び確定給付企業年金法施行規則の一部を改正する省令(平成28年厚生労働省令第120号)が平成28年7月1日から施行されることとされている。

これについて、主な改正事項及び留意事項を以下のとおり整理したので、御了知いただくとともに、その実施に当たっては、周知徹底を図り、遺憾のないよう取り扱われたい。

 1 確定給付企業年金を実施している事業主が2以上である場合等の実施事業所の減少の特例(確定給付企業年金法(平成13年法律第50号。以下「法」という。)第78条の2関係)

  (1) 事業主等(法第29条に規定する事業主等をいう。以下同じ。)がその実施事業所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少に係る厚生年金適用事業所の事業主の全部の同意及び労働組合等の同意(法第74条第2項に規定する労働組合等の同意をいう。以下同じ。)を得なければならないこととされていたところ。

  今回の改正においては、複数の事業主で確定給付企業年金を実施している場合において、次に掲げる要件を満たす場合には、法第78条第1項の規定にかかわらず、厚生労働大臣の承認(基金型企業年金の場合にあっては認可。以下同じ。)を受けて、実施事業所を減少させることができることとするものであること。

   ① 減少させようとする実施事業所の事業主が確定給付企業年金を継続することが困難であると認められること。

   具体的には、当該実施事業所の減少に関する事項を規約に定めた場合であって、当該事項を定めた日以後に減少させようとする実施事業所の事業主が1年分に相当する額(当該事業主がその責に帰することができない事由により掛金の納付をすることができない期間に係る掛金額に相当する額を除く。)を超えて掛金の納付を怠った場合とする。

   ② 基金の場合にあっては、基金の加入者数が、実施事業所を減少させた後も300人以上であるか、又は300人以上となることが見込まれること。

   ③ 当該実施事業所の減少に伴い、他の実施事業所の事業主の掛金が増加することとなる場合にあっては、規約において、当該減少に係る実施事業所の事業主が確定給付企業年金法施行規則(平成14年厚生労働省令第22号。以下「規則」という。)第88条の2で定める計算方法のうち、規約で定めるものにより算定した額を掛金として一括して拠出する旨を定めていること。

  (2) 上記の承認又は認可を受けるに当たっては、実施事業所を減少させるための要件、手続及び減少時の一括拠出に関する規定をあらかじめ規約に定めておく必要があること。

  (3) 法第78条の2の規定により、実施事業所を減少させようとする場合には、以下の手続を経て、厚生労働大臣に承認の申請を行うこと。

   ① 規約型企業年金の場合にあっては、減少させようとする実施事業所の事業主以外の実施事業所の労働組合等の同意を各実施事業所について得ること。

   ② 基金型企業年金の場合にあっては、代議員会における代議員の定数の4分の3以上の多数による議決を経ること

   ③ 減少させようとする実施事業所の事業主に対し、掛金の納付を怠った理由について弁明の機会を与えること

  (4) 法第78条の2の厚生労働大臣の承認又は認可の申請は、次に掲げる書類を添付の上、規則第120条に基づき、地方厚生(支)局長等を経由して厚生労働大臣に提出することにより行うこと。なお、規約型企業年金で2以上の事業主が申請を行う場合にあっては、代表を定め、その代表が行うものとする。

   ① 規約型企業年金の場合にあっては、減少させようとする実施事業所の事業主以外の実施事業所の労働組合等の同意を得たことを証する書類

   ② 掛金の納付を怠った理由の弁明の内容を記載した書類

   ③ 減少させようとする事業主の掛金の納付状況を示した書類

   ④ その他、承認又は認可に当たって必要な書類(基金型企業年金における代議員会の会議録、加入者となる者の数を示した書類等)

  (5) 規約型企業年金の場合にあっては、実施事業所の事業主の全てが、各実施事業所の掛金の納付状況を定期的に確認できる措置を講じておくこと。

 2 実施事業所に係る給付の支給に関する権利義務の他の確定給付企業年金への移転(法第79条関係)

  (1) 確定給付企業年金を実施する事業主等が、他の確定給付企業年金の加入者等に係る給付の支給に関する権利義務の移転承継を行う場合には、厚生労働大臣の承認を受ける必要があるとされていたが、今回の改正後においては、権利義務の移転承継を行う加入者等の同意を得た場合には、厚生労働大臣の承認を受けずに、当該同意を得た加入者等の権利義務の移転承継が可能となること。

  なお、確定給付企業年金法施行令(平成13年政令第424号。以下「令」という。)第49条第2号に基づき、加入者の一部に係る給付の支給に関する権利義務の移転承継を行う場合には、当該加入者の同意を得た上で厚生労働大臣の承認を受けて権利義務の移転承継を行うことから、今回の改正後においては、厚生労働大臣の承認又は認可は不要となるものであること。

  (2) 他の確定給付企業年金の加入者等に係る給付の支給に関する権利義務を承継した後、当該承継した給付の内容を変更する場合(給付の内容の変更の方法があらかじめ規約に定められている場合に限る。)には、規約の変更を行う必要があるが、権利義務の承継の承認又は認可の申請書類に、規約の変更に必要となる書類を添付することで、権利義務承継に係る申請と規約変更に係る申請を一体的に申請できること。

 3 確定拠出年金を実施する場合における手続等(法第82条の2関係)

  (1) 事業主等が積立金の一部を、企業型年金の個人別管理資産に充てる場合には、

   ・ 実施事業所の事業主の全部

   ・ 移換加入者(法第82条の2第2項に規定する移換加入者をいう。以下同じ。)となるべき者の2分の1以上の同意

   ・ 移換加入者となるべき者以外の2分の1以上の同意

  を得ることとされていたが、今回の改正後において、移行元の確定給付企業年金の掛金が増加しない場合、企業型年金に移行しない者のみからなる実施事業所については、2分の1の同意は不要であること。

  (2) (1)における企業型年金に移行しない者のみからなる実施事業所の事業主の掛金が増加しない場合とは次のいずれかに該当する場合であること。

   ① 実施事業所が減少する場合であって、当該減少に伴い他の実施事業所の事業主の掛金が増加しない場合又は増加しないように減少する実施事業所の事業主が掛金を一括して拠出する場合

   ② 積立金の一部を移換することに伴い減少する数理債務の額から当該移換に伴い減少する特別掛金額及び規則第47条に規定する掛金の額(当該移換を行う実施事業所の事業主が拠出するものに限る。)の予想額の現価を控除した額(以下「数理債務等の額」という。)が、当該移換に伴い減少する積立金の額(令第54条の4の規定に基づき掛金として拠出する額を除く。)を下回らない場合

   ③ 当該移換を行う実施事業所の事業主が、積立金の一部を移換することに伴い減少する積立金の額(令第54条の4の規定に基づき掛金として拠出する額を除く。)から当該移換に伴い減少する数理債務等の額を控除した額に相当する額を、過去勤務債務の額に係る特別掛金額として拠出することを規約で定めている場合

  (3) (1)における企業型年金に移行しない者のみからなる実施事業所の事業主の掛金が増加しないことにより加入者の同意を取らない場合には、規則第8条第1項第8号の同意を得たことを証する書類に、当該同意を取らない理由(規則第96条の5のいずれの号に該当するかを含む。)を記載した書類を添付すること。

 4 脱退一時金相当額の移換の申出(令第50条の2及び第54条の6関係)

  (1) 確定給付企業年金の脱退一時金相当額について、法第81条の2及び第82条の3の規定により、他の確定給付企業年金の資産管理運用機関等(法第30条第3項に規定する資産管理運用機関等をいう。)又は企業型年金の資産管理機関若しくは法第82条の3第1項に規定する国民年金基金連合会に移換を行うことができることとされており、この移換の申出については、中途脱退者が移換元の確定給付企業年金の加入者の資格を喪失した日から起算して1年を経過する日又は移換先の確定給付企業年金若しくは確定拠出年金(以下「移換先制度」という。)の加入者の資格を取得した日から起算して3月を経過する日のいずれか早い日までの間に限って行うことができることとされていたが、今回の改正後においては、中途脱退者が移換元の確定給付企業年金の加入者の資格を喪失した日から起算して1年を経過する日までに行うことができることとするものであること。

  (2) 今回の措置について、施行前に既に移換先制度の加入者の資格を取得した日から起算して3月を経過している場合であっても、移換元の確定給付企業年金の加入者の資格を喪失した日から1年を経過していなければ適用されることとなること。

  このため、移換先制度の規約において、移換先制度の加入者の資格を取得した日から起算して3月を経過した場合には脱退一時金相当額の移換ができないことが定められている場合には、速やかに規約の変更を行い、3月を経過しても移換可能とするよう措置すること。