第一条 (定義)
この告示において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 法 確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)をいう。
二 令 確定給付企業年金法施行令(平成十三年政令第四百二十四号)をいう。
三 規則 確定給付企業年金法施行規則(平成十四年厚生労働省令第二十二号)をいう。
四 平成二十五年改正法 公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律(平成二十五年法律第六十三号)をいう。
五 改正前確定給付企業年金法 平成二十五年改正法第二条の規定による改正前の確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)をいう。
六 財政悪化リスク相当額 規則第四十三条第一項に規定する通常の予測を超えて財政の安定が損なわれる危険に対応する額をいう。
七 リスク分担型企業年金 規則第一条第三号に規定するリスク分担型企業年金をいう。
八 積立金 法第五十九条に規定する積立金をいう。
九 リスク算定用資産構成割合 規則第八十四条第一項第一号の資産の構成割合に基づき、別表の上欄に掲げる資産及び別表の上欄に掲げる資産以外の資産の構成割合を合理的に定めた場合における当該構成割合をいう。
十 事業主等 法第二十九条第一項に規定する事業主等をいう。
十一 基礎率 規則第四十三条第一項に規定する基礎率をいう。
十二 予定利率 規則第四十三条第二項第一号に規定する予定利率をいう。
十三 定常状態 基礎率に基づき将来にわたって積立金の額を算定した場合において、当該積立金の額が変化しない状態に至るときの当該変化しない状態をいう。
十四 特別算定方法 財政悪化リスク相当額の算定方法として、確定給付企業年金を実施する事業主等が、確定給付企業年金の積立金の運用、基礎率その他の事情を勘案して自ら定める方法をいう。
十五 価格変動リスク 資産の価格変動により積立金の額が低下する危険をいう。
十六 負債変動リスク 基礎率と実績が乖離することに伴い負債が変動する危険をいう。
十七 存続厚生年金基金 平成二十五年改正法附則第三条第十一号に規定する存続厚生年金基金をいう。
十八 規約型企業年金 法第七十四条第一項に規定する規約型企業年金をいう。
十九 企業年金基金 法第二条第四項に規定する企業年金基金をいう。
二十 脱退一時金相当額 法第八十一条の二第一項及び改正前確定給付企業年金法第百十五条の三第一項に規定する脱退一時金相当額をいう。
二十一 解約手当金相当額 中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十号)第十七条第一項又は同法第三十一条の四第一項に規定する解約手当金に相当する額をいう。
二十二 残余財産 平成二十五年改正法附則第三十五条第一項に規定する残余財産をいう。
二十三 個人別管理資産 確定拠出年金法(平成十三年法律第八十八号)第二条第十二項に規定する個人別管理資産をいう。
(令元厚労告二一一・一部改正)
第二条 (財政悪化リスク相当額の算定方法)
財政悪化リスク相当額は、次の各号に掲げる確定給付企業年金の区分に応じ、当該各号に定めるところにより算定した額とする。
一 リスク分担型企業年金でない確定給付企業年金 価格変動リスクとして、計算基準日における積立金の資産のうちの別表の上欄に掲げる資産の額に、それぞれ同表の下欄に定める率を乗じて得た額の合計額に、計算基準日における積立金の額(積立金の額が通常予測給付額(規則第四条第三項に規定する通常予測給付額をいう。以下同じ。)の現価に相当する額を上回る場合は、当該通常予測給付額の現価に相当する額)を同表の上欄に掲げる資産の額の合計額で除して得た率を乗じた額
二 リスク分担型企業年金 次のイに掲げる価格変動リスク及びロに掲げる負債変動リスクの合計額
イ 次の(1)に掲げる額に(2)に掲げる率を乗じて得た額
(1) 定常状態における積立金の額の予想額に別表の上欄に掲げる資産以外の資産を除く同表の上欄に掲げる資産ごとのリスク算定用資産構成割合を乗じて得た額を別表の上欄に掲げる資産の額とみなし、当該みなした額に、それぞれ同表の下欄に定める率を乗じて得た額の合計額
(2) 定常状態における積立金の額の予想額を(1)の別表の上欄に掲げる資産の額とみなした額の合計額で除して得た率
ロ 次の(1)に掲げる額から(2)に掲げる額を控除した額(当該額が零を下回る場合は、零とする。)
(1) 予定利率が一・〇パーセント低下したとした場合の定常状態における調整前給付額(規則第二十五条第四号に規定する調整前給付額をいう。)の通常の予測に基づく予想額の現価に相当する額(次条第四項第一号において「調整前給付現価相当額」という。)の増加額(一・〇パーセント低下したとした場合の予定利率が規則第四十三条第二項第一号ただし書の率を下回る場合は、当該率を予定利率とみなして算定したことにより増加する額とする。(2)において同じ。)
(2) 予定利率が一・〇パーセント低下したとした場合の定常状態におけるリスク分担型企業年金掛金額(規則第四十五条第四項に規定するリスク分担型企業年金掛金額をいう。次条第四項第一号において同じ。)の予想額の現価に相当する額の増加額
2 次の各号のいずれかに該当する確定給付企業年金を実施する事業主等は、前項の規定にかかわらず、特別算定方法により、財政悪化リスク相当額を算定しなければならない。
一 計算基準日における積立金の資産に占める別表の上欄に掲げる資産以外の資産の割合が二十パーセント以上である確定給付企業年金(リスク分担型企業年金を除く。)
二 リスク算定用資産構成割合において、別表の上欄に掲げる資産以外の資産の構成割合が十パーセント以上であるリスク分担型企業年金
三 法第九十七条第一項の規定に基づき、年金数理人(同条第二項に規定する年金数理人をいう。第六条において同じ。)から法第九十七条第一項の年金数理に関する業務に係る書類に予定利率以外の基礎率の変動を勘案すべき旨の所見が付されたリスク分担型企業年金
3 前項に規定する事業主等以外の事業主等は、第一項の規定にかかわらず、特別算定方法により、財政悪化リスク相当額を算定することができる。
(令元厚労告二一一・一部改正)
第三条 (特別算定方法の承認)
事業主等は、前条第二項及び第三項の規定により財政悪化リスク相当額を算定しようとするときは、あらかじめ、その算定について厚生労働大臣の承認を受けなければならない。ただし、次の各号に掲げる場合に該当するときは、この限りでない。
一 リスク分担型企業年金でない確定給付企業年金であって、次に掲げる算定方法により財政悪化リスク相当額を算定する場合
イ 計算基準日における積立金の額(積立金の額が通常予測給付額の現価に相当する額を上回る場合は、当該通常予測給付額の現価に相当する額)に別表の上欄に掲げる資産ごとのリスク算定用資産構成割合を乗じて得た額を別表の上欄に掲げる資産の額とみなし、前条第一項第二号イの規定に準じて合理的に算定する方法(リスク算定用資産構成割合で定める積立金の資産に占める別表の上欄に掲げる資産以外の資産の割合が二十パーセント以上である場合を除く。)
ロ 計算基準日以後に積立金、脱退一時金相当額、解約手当金相当額、残余財産若しくは個人別管理資産の移換を受ける場合、積立金若しくは脱退一時金相当額を移換する場合又は実施事業所が増加若しくは減少する場合に、計算基準日における積立金の額に増加又は減少することとなる積立金の額を加算又は減算し、前条第一項第一号又はイの規定に準じて合理的に算定する方法(前条第一項第一号の規定に準じて合理的に算定する場合にあっては同条第二項第一号に該当する場合を、イの規定に準じて合理的に算定する場合にあってはリスク算定用資産構成割合で定める積立金の資産に占める別表の上欄に掲げる資産以外の資産の割合が二十パーセント以上である場合を除く。)
二 リスク分担型企業年金でない確定給付企業年金であって、財政悪化リスク相当額を、次のイ及びロに掲げる額の合計額とする場合(価格変動リスクを、前条第一項第一号又は前号ロの規定により前条第一項第一号に準じて算定する場合にあっては同条第二項第一号に該当する場合を除き、前号イ又は前号ロの規定により前号イに準じて算定する場合にあってはリスク算定用資産構成割合で定める積立金の資産に占める別表の上欄に掲げる資産以外の資産の割合が二十パーセント以上である場合を除く。)
イ 価格変動リスクとして、前条第一項第一号又は前号の規定により算定した額
ロ 負債変動リスクとして、次の(1)に掲げる額から(2)に掲げる額を控除した額(当該額が零を下回る場合は、零とする。)
(1) 予定利率が一・〇パーセント低下したとした場合の計算基準日における通常予測給付額の現価に相当する額の増加額(一・〇パーセント低下したとした場合の予定利率が規則第四十三条第二項第一号ただし書の率を下回る場合は、当該率を予定利率とみなして算定したことにより増加する額とする。(2)において同じ。)
(2) 予定利率が一・〇パーセント低下したとした場合の計算基準日における掛金の額(規則第四十五条第二項に規定する標準掛金額(規則第四十六条第一項に規定する過去勤務債務の額がある場合にあっては、同項に規定する特別掛金額を含むことができる。))の予想額の現価に相当する額の増加額
2 前項の承認(以下この条において「特別算定承認」と総称する。)を受けようとする事業主等は、財政悪化リスク相当額の算定方法の概要を記載した申請書を厚生労働大臣に提出して、特別算定承認の申請をするものとする。
3 前項の申請書には、次に掲げる書類を添付するものとする。
一 理由書
二 当該算定方法の使用を開始しようとする日の属する事業年度の前事業年度(前項の申請書の提出時において前事業年度の決算が行われていない場合にあっては前々事業年度(法第三条第一項の規定により確定給付企業年金を実施しようとする場合若しくは平成二十五年改正法附則第五条第一項第二号の規定によりなおその効力を有するものとされた改正前確定給付企業年金法第百十条の二第一項の規定により存続厚生年金基金の設立事業所に係る給付の支給に関する権利義務を確定給付企業年金の実施事業所に移転する場合又は同法第百十一条第一項の規定により存続厚生年金基金から規約型企業年金へ移行する場合若しくは同法第百十二条第一項の規定により存続厚生年金基金から企業年金基金へ移行する場合にあっては、当該確定給付企業年金を実施しようとする日又は規約型企業年金若しくは企業年金基金へ移行する日前一年以内のいずれかの日))において、当該算定方法により財政悪化リスク相当額を予備的に計算した結果を示す書類
三 前二号に掲げるもののほか、特別算定承認に当たって必要な書類
4 厚生労働大臣は、特別算定承認の申請があった場合において、特別算定方法が次に掲げる要件に該当すると認めるときは、特別算定承認をするものとする。
一 財政悪化リスク相当額を、通常予測給付額の現価に相当する額(リスク分担型企業年金の場合にあっては、調整前給付現価相当額)から掛金の額(規則第四十五条第二項に規定する標準掛金額(規則第四十六条第一項に規定する過去勤務債務の額がある場合にあっては、同項に規定する特別掛金額を含むことができる。)又はリスク分担型企業年金掛金額をいう。)の予想額の現価に相当する額と積立金の額を合算した額を控除した額の二十年に一回の頻度で発生すると予想される最大額とするものであること。
二 価格変動リスクを考慮するものであり、かつ、負債変動リスクを考慮するよう努めているものであること。ただし、リスク分担型企業年金を実施する場合にあっては、予定利率と実績とが乖離することに伴い発生しうる危険を考慮するものであること。
三 信頼できるデータ、情報及び手法を用いるものであること。
(令元厚労告二一一・一部改正)
第四条 (特別算定方法の変更の承認)
事業主等は、特別算定方法を変更するときは、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。ただし、前条第一項ただし書の規定に該当する場合は、この限りでない。
2 前条第二項から第四項までの規定は、前項の変更の承認について準用する。
(令元厚労告二一一・一部改正)
第五条 (特別算定方法の中止)
事業主等は、特別算定方法の使用を中止するときは、その旨及びその理由を記載した書類を厚生労働大臣に提出しなければならない。
第六条 (年金数理人の所見を踏まえた措置)
年金数理人が法第九十七条第一項の規定に基づき、同項の年金数理に関する業務に係る書類に特別算定方法の内容又は特別算定方法を使用することが不適当である旨の所見を付した場合には、事業主等は、特別算定方法の内容が適当となるよう特別算定方法を変更し、又は特別算定方法の使用を中止しなければならない。
第七条 (簡易な基準に基づく確定給付企業年金における財政悪化リスク相当額)
第二条の規定にかかわらず、規則第六十五条に規定する簡易な基準に基づく確定給付企業年金における財政悪化リスク相当額は零とする。
(令元厚労告二一一・一部改正)
改正文 (令和元年一二月二七日厚生労働省告示第二一一号) 抄
この告示による改正後の確定給付企業年金法施行規則第四十三条第一項に規定する通常の予測を超えて財政の安定が損なわれる危険に対応する額の算定方法第三条及び第四条の規定は、この告示の日以後に行われる同令第三条第二項に規定する申請(同令第四条第二項において準用する場合を含む。)から適用することとし、この告示の日前に行われたこの告示による改正前の確定給付企業年金法施行規則第四十三条第一項に規定する通常の予測を超えて財政の安定が損なわれる危険に対応する額の算定方法第三条第三項に規定する申請(同令第四条第二項において準用する場合を含む。)に係る同令第三条及び第四条の規定の適用については、なお従前の例による。
別表
| 資産の区分 | リスク係数 |
| 国内債券 | 五パーセント |
| 国内株式 | 五十パーセント |
| 外国債券 | 二十五パーセント |
| 外国株式 | 五十パーセント |
| 一般勘定 | 〇パーセント |
| 短期資産 | 〇パーセント |
備考
一 国内債券とは、次に掲げる資産をいう。
イ 国債、地方債、特別の法律により法人の発行する債券及び社債券(第三号イに該当する資産を除く。)
ロ 非居住者(外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項第六号に規定する非居住者をいう。)の発行する本邦通貨をもって表示される債券
ハ 主としてイ及びロの資産に運用する令第四十四条第一号イの受益証券又は投資証券、投資法人債若しくは外国投資証券(以下「受益証券等」という。)
ニ 主としてイ及びロの資産に運用する法第六十五条第一項第一号に規定する信託又は令第四十四条第二号ヘの方法により運用する信託(以下「信託」という。)の受益権
ホ 生命保険会社の特別勘定(保険業法(平成七年法律第百五号)第百十八条に規定する特別勘定をいう。以下同じ。)を設ける保険契約に係る資産のうち主としてイ、ロ及びハの資産に運用するもの
ヘ イからホまでの資産に準ずるもの
二 国内株式とは、次に掲げる資産をいう。
イ 株式、新株予約権証券及び特別の法律により設立された法人の発行する出資証券(第四号イに該当する資産を除く。)
ロ 主としてイの資産に運用する受益証券等
ハ 主としてイの資産に運用する信託の受益権
ニ 生命保険会社の特別勘定を設ける保険契約に係る資産のうち主としてイ及びロの資産に運用するもの
ホ イからニまでの資産に準ずるもの
三 外国債券とは、次に掲げる資産をいう。
イ 外国通貨をもって表示される債券
ロ 主としてイの資産に運用する受益証券等
ハ 主としてイの資産に運用する信託の受益権
ニ 生命保険会社の特別勘定を設ける保険契約に係る資産のうち主としてイ及びロの資産に運用するもの
ホ イからニまでの資産に準ずるもの
四 外国株式とは、次に掲げる資産をいう。
イ 外国通貨をもって表示される株式及び新株予約権証券
ロ 主としてイの資産に運用する受益証券等
ハ 主としてイの資産に運用する信託の受益権
ニ 生命保険会社の特別勘定を設ける保険契約に係る資産のうち主としてイ及びロの資産に運用するもの
ホ イからニまでの資産に準ずるもの
五 一般勘定とは、保険業法施行規則(平成八年大蔵省令第五号)第七十五条の二第一項第一号に規定する一般勘定を設ける保険契約に係る資産その他これに準ずる資産をいう。
六 短期資産とは、現金、預貯金その他これらに類する資産をいう。