DC法令解釈通知

確定拠出年金制度について(法令解釈通知)

平成13年8月21日年発第213号2026年4月1日現在の内容

概要

確定拠出年金法・施行令・施行規則の逐条的な法令解釈を示す厚生労働省通知の最新版(2024年12月1日現在)。条文の解釈・運用上の取扱いについて官庁見解を示す一次資料(524KB PDF)。

確定拠出年金制度について

(平成13年8月21日年発第213号

厚生労働省年金局長から地方厚生(支)局長宛通知)

改正 平成14年3月29日年発第0329010号

〃 平成16年8月24日年発第0824001号

〃 平成16年10月1日年発第1001003号

〃 平成17年8月10日年発第0810001号

〃 平成18年3月27日年発第0327009号

〃 平成19年9月28日年発第0928003号

〃 平成22年2月26日年発0226第4号

〃 平成23年11月28日年発1128第1号

〃 平成25年3月29日年発0329第4号

〃 平成27年9月30日年発0930第8号

〃 平成28年3月31日年発0331第25号

〃 平成28年11月22日年発1122第7号

〃 平成29年3月21日年発0321第5号

〃 平成29年4月28日年発0428第2号

〃 平成30年1月11日年発0111第2号

〃 平成30年7月24日年発0724第3号

〃 令和2年9月30日年発0930第29号

〃 令和3年7月28日年発0728第3号

〃 令和3年9月27日年発0927第1号

〃 令和4年1月21日年発0121第2号

〃 令和6年11月18日年発1118第5号

〃 令和7年10月31日年発1031第2号

〃 令和8年3月27日年発0327第2号

確定拠出年金法(平成13年法律第88号)並びにこれに基づく政令及び省令に関し、別紙のとおり、解釈を定めたので、十分了知するとともに、企業型年金規約の承認等の実施に当たっては、事業主等の関係者に対し別紙の内容について十分な説明や適正な指導等を期せられたい。

(別紙)

確定拠出年金法並びにこれに基づく政令及び省令について(法令解釈)

第1 企業型年金規約の承認基準等に関する事項

企業型確定拠出年金(以下「企業型年金」という。)の規約の承認基準については、確定拠出年金法(平成13年法律第88号。以下「法」という。)第4条第1項並びに確定拠出年金法施行令(平成13年政令第248号。以下「令」という。)第5条及び第6条に規定されているところであるが、次に掲げる事項については、それぞれ次のとおりとすること。

1.企業型年金加入者とすることについての「一定の資格」の内容

実施事業所の従業員(企業型年金を実施する厚生年金適用事業所に使用される第一号等厚生年金被保険者をいう。以下同じ。)が企業型年金加入者となることについて企業型年金規約で法第3条第3項第6号の「一定の資格」を定めたときは、当該資格を有しない者は企業型年金加入者としないが、当該資格を定めるに当たっては次のとおりとし、「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」(平成30年厚生労働省告示第430号)の「基本的な考え方」を踏まえること。

(1)「一定の資格」として定めることができる資格とは、次の①から④に掲げる資格であり、これら以外のものを「一定の資格」として定めることは、基本的には特定の者に不当に差別的な取扱いとなるものであること。

 ① 「一定の職種」

 「一定の職種」に属する従業員のみを企業型年金加入者とすること。この場合において、「職種」とは、研究職、営業職、事務職などの労働協約又は就業規則その他これらに準ずるもの(以下「労働協約等」という。)において規定される職種をいい、これらの職種に属する従業員に係る給与及び退職金等の労働条件が他の職種に属する従業員の労働条件とは別に規定されているものであること。

 ② 「一定の勤続期間」

 実施事業所に使用される期間(いわゆる勤続期間)のうち、「一定の勤続期間以上(又は未満)」の従業員のみを企業型年金加入者とすること。なお、見習期間中又は試用期間中の従業員については企業型年金加入者としないことができるものであること。

 ③ 「一定の年齢」

 「一定の年齢未満」の従業員のみを企業型年金加入者とすること。

  (注)確定拠出年金は従業員の老後の所得確保を図るための制度であって、「一定の年齢」を60歳より低い年齢とすることはできない。ただし、企業型年金の開始時又は企業型年金加入者の資格取得日に50歳以上の従業員は、自己責任で運用する期間が短く、また、60歳以降で定年退職してもそのときに給付を受けられないという不都合が生じるおそれがあることから、50歳以上の一定の年齢によって加入資格を区分し、当該一定の年齢以上の従業員を企業型年金加入者とせずに、当該一定の年齢未満の従業員のみを企業型年金加入者とすることはできるものであること。

 ④ 「希望する者」

 従業員のうち、「企業型年金加入者となることを希望した者」のみを企業型年金加入者とすること(この場合にあっては、企業型年金加入者がその資格を喪失することを任意に選択できるものではないこと。)。

(2)企業型年金加入者とすることについて「一定の資格」を定める場合、基本的には、

  ア 上記(1)の①及び②に掲げる場合においては、企業型年金加入者とならない従業員については、厚生年金基金(加算部分)、確定給付企業年金又は退職手当制度(退職手当前払制度を含む。以下同じ。)が適用されていること。

  イ 上記(1)の③(注)ただし書及び④に掲げる場合においては、企業型年金加入者とならない従業員については、確定給付企業年金(④に掲げる場合に限る。)又は退職手当制度が適用されていること。

  とするとともに、これらの制度において企業型年金への事業主掛金の拠出に代わる相当な措置が講じられ、企業型年金加入者とならない従業員について不当に差別的な取扱いを行うこととならないようにすること。

(3)労働協約等における給与及び退職金等の労働条件が異なるなど合理的な理由がある場合にあっては、企業型年金加入者の資格を区分(グループ区分)することができること。

2.事業主掛金に関する事項

(1)「定額」の内容

事業主掛金について、「定額」とする場合には、基本的には、当該企業型年金加入者の全員が同額の事業主掛金額となるようにしなければならないこと。ただし、確定給付企業年金等の他制度の加入の有無等により、一定の企業型年金加入者に係る拠出限度額がその「定額」を下回る場合は、当該企業型年金加入者についてはこの限りでない。なお、当該企業型年金加入者については、公平性の観点から、個々人の拠出限度額と同額の事業主掛金額となるようにしなければならないこと。

(2)「給与」の具体的な内容

法第4条第1項第3号中の「給与」とは、以下の基準に該当するものとすること。

 ① 「給与」は、給与規程若しくは退職金規程又はこれらに準ずるものに定められたものを使用することを原則とするが、年金制度のために特別に定められた給与であっても、事業主による恣意性が介入するおそれがないと認められるもの(厚生年金基金及び確定給付企業年金において認められているポイント制により算出した給与を含む。)については、給与規程若しくは退職金規程又はこれらに準じるものに定めることにより、法第4条第1項第3号の給与とすることができること。

 ② 役職手当、特殊勤務手当、技能手当等毎月一定額が支給され本来基準内賃金と見なされる給与については、法第4条第1項第3号の給与とすることができること。

 ③ 厚生年金保険の標準報酬月額を法第4条第1項第3号の給与とすることができること。その際、標準報酬月額に標準賞与額に相当するものを加えることも可能とすること。

 ④ 就業規則又は労働協約に日給者及び月給者の区分が明定されている場合において、日給の月給換算は就業規則又は労働協約の定めによるものとし、その定めがない場合は、20~30倍の範囲で換算するものとすること。

(3)「その他これに類する方法」の内容

法第4条第1項第3号中の「その他これに類する方法」とは、定額と給与に一定の率を乗ずる方法により算定した額の合計額により算定する方法をいうものであること

(4)企業型年金加入者間で事業主掛金額に差を設ける場合((1)ただし書きに該当する場合を除く。)にあっては、「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」の「基本的な考え方」を踏まえ、労働協約等における給与及び退職金等の労働条件が異なるなど事業主掛金額に差を設けることにつき合理的な理由があること。

(5)労使合意により給与等を減額した上で、当該減額部分を事業主掛金として拠出し企業型年金の個人別管理資産として積み立てるか、給与等への上乗せで受け取るかを従業員が選択する仕組みを実施するに当たっては、社会保険・雇用保険等の給付額にも影響する可能性を含めて、事業主は従業員に正確な説明を行う必要があること。

(6)企業型掛金拠出単位期間(令第10条の2に規定する企業型掛金拠出単位期間をいう。以下同じ。)について、同条ただし書の規定により区分した期間(以下この(6)から(8)までにおいて「拠出区分期間」という。)を定める場合は、拠出区分期間は月単位で区分けするものとすること。

(7)拠出区分期間は、企業型掛金拠出単位期間につき1回のみ変更することができるものであること。1回の拠出区分期間の変更において、あらかじめ翌企業型掛金拠出単位期間に係る拠出区分期間の変更を含めて指定を行うことは複数回の変更になるため認められないこと。

(8)企業型掛金拠出単位期間の途中で、既に事業主掛金を拠出した拠出区分期間(この(8)において「既拠出期間」という。)を含めて拠出区分期間を変更する場合にあっては、当該企業型掛金拠出単位期間においては、既拠出期間は拠出区分期間の指定から除外されたものとみなすこと。

(9)企業型年金加入者がその加入者資格を喪失することに伴い事業主掛金を拠出する場合における事業主掛金の額の算定方法は、その拠出に係る期間の月数に応じ、企業型掛金拠出単位期間における事業主掛金の見込み額の総額を勘案して令第6条第2号に掲げる要件に従い不当に差別的なものでないよう定めなければならないこと。

(10)事業主掛金を以下のいずれかにより拠出する場合、企業型年金加入者は個人型年金に加入することができないこと。

 ① 事業主掛金を企業型掛金拠出単位期間を1月ごとに区分した期間ごとに拠出する方法以外の方法により拠出すること

 ② 各拠出区分期間に拠出する事業主掛金の額が令第11条各号に掲げる企業型年金加入者の区分に応じて当該各号に定める額を超えて拠出すること

3.企業型年金加入者掛金に関する事項

(1)企業型年金加入者が企業型年金加入者掛金を拠出できることを企業型年金規約に定める場合は、当該掛金の拠出は、企業型年金加入者自らの意思により決定できるものでなければならないこと。

(2)企業型年金加入者が企業型年金加入者掛金を拠出できることを企業型年金規約に定める場合は、企業型年金加入者掛金を拠出するか、個人型年金に加入し個人型年金加入者掛金を拠出するかを自らの意思により決定できるものでなければならないこと。ただし、企業型年金加入者掛金を拠出する企業型年金加入者は個人型年金に加入することができないこと。また、個人型年金に加入し個人型年金加入者掛金を拠出する企業型年金加入者は企業型年金加入者掛金を拠出することができないこと。

(3)企業型年金加入者掛金の額は、複数の具体的な額から選択できるようにしなければならないこと。

(4)企業型年金加入者掛金の額を複数設定する場合は、加入者が拠出できる最大の範囲で企業型年金加入者掛金の額が設定できるよう努めなければならないこと。

(5)企業型年金加入者掛金の拠出の方法について、企業型掛金拠出単位期間を令第10条の3ただし書の規定により区分した期間(以下この(5)から(8)までにおいて「拠出区分期間」という。)を定める場合は、拠出区分期間は月単位で区分けするものとし、一以上の拠出区分期間を選択できるようにすること。なお、平成30年1月より前から企業型年金加入者掛金を拠出することができる企業型年金にあっては、当該選択として毎月の拠出区分期間を含めるなど、従来の毎月拠出による拠出方法を踏まえ、労使による協議を十分に行った上で定めること。

(6)企業型年金加入者掛金の額及び拠出区分期間の変更に関する取扱いは、以下のとおりであること。

 ① 企業型年金加入者掛金の額及び拠出区分期間は、企業型掛金拠出単位期間につきそれぞれ1回のみ変更することができるものであること。

 ② 令第6条第4号ハ中の「変更」は、実施事業所ごとに管理されるものであり、企業型年金加入者の移動前の実施事業所での企業型年金加入者掛金の額の変更は、移動後の実施事業所での企業型年金加入者掛金の額の変更には含まれないこと。拠出区分期間の変更も同様であること。

 ③ 1回の企業型年金加入者掛金の額又は拠出区分期間の変更において、あらかじめ翌企業型掛金拠出単位期間に係る企業型年金加入者掛金の額又は拠出区分期間の変更を含めて指定を行うことは複数回の変更になるため認められないこと。

 ④ 企業型掛金拠出単位期間の途中で、既に企業型年金加入者掛金を拠出した拠出区分期間(この④において「既拠出期間」という。)を含めて拠出区分期間を変更する場合にあっては、当該企業型掛金拠出単位期間においては、既拠出期間は拠出区分期間の指定から除外されたものとみなす。

 ⑤ 令第6条第4号ハ又は確定拠出年金法施行規則(平成13年厚生労働省令第175号。以下「施行規則」という。)第4条の2第1号、第3号及び第4号に関する内容を企業型年金規約にあらかじめ定めていて、企業型年金加入者が令第6条第4号ハ又は施行規則第4条の2第1号、第3号及び第4号に掲げる場合に該当したときは、企業型年金加入者から事業主に対する変更の指図は不要であること。

 ただし、企業型年金加入者掛金の額を指図なしに変更を行った場合は、当該加入者に対し速やかにこれを報告するものであること。

 ⑥ 企業型年金加入者が施行規則第4条の2第6号に掲げる場合に該当したときは、企業型年金加入者がその加入者資格を喪失することに伴い企業型年金加入者掛金を拠出する場合における企業型年金加入者掛金の額について、資格を喪失しなかった場合の当該期間を含む拠出に係る期間の拠出予定額から、当該額を資格を喪失した場合の拠出に係る期間の月数で按分した額に変更する場合であること。

(7)「不当に差別的なものでないこと」の内容

令第6条第2号及び第4号イ中の「不当に差別的なものでないこと」とは、例えば、次に掲げる場合について該当しないものであること。

 ① 一定の資格(職種・勤続期間・年齢)を設けて、企業型年金加入者掛金の額又は拠出区分期間の決定又は変更方法等に差を付けること。

 ② 事業主返還において、企業型年金加入者掛金の拠出があるにもかかわらず企業型年金加入者であった者への返還額が零であること。

(8)「不当に制約されるものでないこと」の内容

令第6条第4号ニ中の「不当に制約されるものでないこと」とは、企業型年金加入者の意思を正確に反映されないものであり、例えば、次に掲げる場合について該当しないものであること。

 ① 企業型年金加入者掛金の額又は拠出区分期間の指定がなかった者は、特定の企業型年金加入者掛金の額又は拠出区分期間を選択したものとすること。

 ② 企業型年金加入者掛金の額が毎年自動的に増加又は減少することを設けること。

4.事務費の負担に関する事項

企業型年金規約においては、事務費の負担に関する事項として、次に掲げる事項を記載するものとすること。

(1)確定拠出年金運営管理機関に運営管理業務を委託した場合における当該確定拠出年金運営管理機関に係る事務費の額又はその算定方法、その負担の方法(事業主の負担割合と企業型年金加入者等の負担割合に関することを含む。)

(2)資産管理機関に係る事務費の額又はその算定方法、その負担の方法(事業主の負担割合と企業型年金加入者等の負担割合に関することを含む。)

(3)法第22条に係る措置に要する費用の額又はその算定方法、その負担の方法

(4)法第25条第4項に係る措置に関し、それに要する費用が必要な場合における当該費用の負担の方法(事業主の負担割合と企業型年金加入者等の負担割合に関することを含む。)

5.厚生年金基金、確定給付企業年金等からの資産の移換に関する事項

厚生年金基金、確定給付企業年金、中小企業退職金共済法(昭和34年法律第160号)の規定による退職金共済(以下「退職金共済」という。)又は退職手当制度から企業型年金に資産を移換する場合においては、企業型年金規約に、次に掲げる事項を記載するものとすること。

(1)企業型年金に資産を移換する厚生年金基金、確定給付企業年金、退職金共済又は退職手当制度の種別

(2)資産の移換の対象となる企業型年金加入者の範囲

(3)個人別管理資産に充てる移換額

(4)通算加入者等期間に算入すべき期間の範囲

(5)企業型年金への資産の受入れ期日

(6)退職手当制度から資産の移換を受ける場合にあっては、当該資産の移換を受ける最後の年度

6.厚生年金基金等からの脱退一時金相当額等の移換に関する事項

企業型年金に厚生年金基金及び確定給付企業年金の脱退一時金相当額並びに企業年金連合会の年金給付等積立金若しくは積立金(以下「脱退一時金相当額等」という。)を移換する場合においては、企業型年金規約に、個人別管理資産に充てる移換額、企業型年金加入者等が通算加入者等期間に算入すべき算定基礎期間の範囲を記載するものとすること。

7.企業型年金から確定給付企業年金等への個人別管理資産の移換に関する事項

企業型年金から確定給付企業年金、企業年金連合会又は退職金共済に個人別管理資産を移換する場合においては、企業型年金規約に、次に掲げる事項を記載するものとすること。

(1)個人別管理資産を移換する制度の種別

(2)個人別管理資産の移換に伴い通算加入者等期間から控除される期間の範囲

(3)企業型年金から退職金共済へ個人別管理資産を移換する場合にあっては、法第54条の6に規定する合併等として施行規則第31条の5に規定する行為を行った期日及び当該合併等により個人別管理資産を移換する旨(個人別管理資産の移換期日を含む。)

8.企業型年金規約の備置き及び閲覧に関する事項

法第4条第4項の規定に基づき、事業主は、企業型年金規約を実施事業所ごとに備え置き、その使用する第一号等厚生年金被保険者(法第9条第2項第2号に該当する者を除く。)の求めに応じ、これを閲覧させていること。

なお、

 ・ 施行規則第4条の3に規定する電磁的方法による規約の備置きとは、社内イントラネット等において規約を掲示するような方法をいうこと。

 ・ 同一の規約で複数事業主が加入する企業型年金の場合は、他の事業主に関する内容を開示すると、企業型年金加入者が混乱することも考えられることから、事業主が企業型年金規約を開示する際には当該事業主の事業所に関わる部分のみ開示して差し支えないこと。

9.規約の変更内容がすべての実施事業所に係るものでない場合の当該変更に係る事項

法第5条第3項ただし書の規定に基づき、当該変更に係る実施事業所以外の実施事業所について同意があったものとみなすことができる場合については、規約において、あらかじめ、当該変更に係る事項を定めているときに限るものとし、当該変更に係る事項としては、実施事業所の名称、加入資格、掛金又は運営管理手数料等の定めがあること。

10.企業型年金規約の申請に当たって添付する書類に係る留意点

厚生年金適用事業所の第一号等厚生年金被保険者(法第9条第2項第2号に該当する者を除く。)の過半数を代表する者として正当に選出された者であることの証明書(施行規則様式第6号)に掲げる「5.選出方法」については、投票、挙手、労働者の話し合い、持ち回り決議等の別、選出が行われた日時(期間)、選出の経過(結果)を記載するものであること。

第2 中小事業主掛金に関する事項

1.中小事業主の要件

法第55条第2項第4号の2に規定する中小事業主の要件については、下記のいずれも満たすものであること。

(1)企業型年金、確定給付企業年金及び厚生年金基金を実施していない厚生年金適用事業所の事業主であること。

(2)同一事業主が2以上の厚生年金適用事業所において実施する場合は、全ての厚生年金適用事業所において使用される第一号厚生年金被保険者の総数が300人以下であること。

2.中小事業主掛金の拠出の対象となる者についての「一定の資格」の内容

(1)中小事業主掛金の拠出の対象となる者について法第68条の2第2項の「一定の資格」を定めることができるが、当該資格を定めるに当たっては次のとおりとし、「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」の「基本的な考え方」を踏まえること。

「一定の資格」として定めることができる資格とは、次の①又は②に掲げる資格であり、これら以外のものを「一定の資格」として定めることは、基本的には特定の者に不当に差別的な取扱いとなるものであること。

 ① 「一定の職種」

 「一定の職種」に属する加入者(厚生年金適用事業所に使用される第一号厚生年金被保険者であって、個人型年金加入者であるものをいう。)のみを中小事業主掛金の拠出の対象となる者とすること。この場合において、「職種」とは、研究職、営業職、事務職などの労働協約等において規定される職種をいい、これらの職種に属する加入者に係る給与及び退職金等の労働条件が他の職種に属する加入者の労働条件とは別に規定されているものであること。

 ② 「一定の勤続期間」

 当該厚生年金適用事業所に使用される期間(いわゆる勤続期間)のうち、「一定の勤続期間以上(又は未満)」の加入者のみを中小事業主掛金の拠出の対象となる者とすること。なお、見習期間中又は試用期間中の加入者については中小事業主掛金の拠出の対象となる者としないことができるものであること。

(2)労働協約等における給与及び退職金等の労働条件が異なるなど合理的な理由がある場合にあっては、資格を区分(グループ区分)することができること。

3.「不当に差別的なものでないこと」の内容

令第29条第4号イ中の「不当に差別的なものでないこと」については、「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」の「基本的な考え方」を踏まえ、労働協約等における給与及び退職金等の労働条件が異なるなど中小事業主掛金額に差を設けることにつき合理的な理由があること。

4.中小事業主掛金の拠出に当たって届け出る書類に係る留意点

厚生年金適用事業所の第一号厚生年金被保険者の過半数を代表する者として正当に選出された者であることの証明書の記載事項として施行規則第56条の6第2項第2号ホ、施行規則第56条の7第2項第2号ロ及び第3項第2号ロに規定する「選出の方法」については、投票、挙手、労働者の話し合い、持ち回り決議等の別、選出が行われた日時(期間)、選出の経過(結果)を記載するものであること。

第3 資産の運用に関する情報提供(いわゆる投資教育)に関する事項

1.基本的な考え方

(1)確定拠出年金は、我が国の年金制度において、個々の加入者等が自己責任により運用し、その運用結果によって給付額が決定される初めての制度である。確定拠出年金が適切に運営され、老後の所得確保を図るための年金制度として国民に受け入れられ、定着していくためには、何よりも増して加入者等が適切な資産運用を行うことができるだけの情報・知識を有していることが重要である。また、確定拠出年金制度の老齢給付金の受給時期等、制度に関する情報・知識を有していることも重要となる。したがって、法第22条の規定等に基づき、投資教育を行うこととなる確定拠出年金を実施する事業主、国民年金基金連合会、それらから委託を受けて当該投資教育を行う確定拠出年金運営管理機関及び企業年金連合会等(この第3の事項において「事業主等」という。)は、極めて重い責務を負っている。このため、事業主等においては、制度への加入時はもちろん、加入後においても、継続的に、個々の加入者等の知識水準やニーズ等も踏まえつつ、加入者等が十分理解できるよう、必要かつ適切な投資教育を行わなければならないものであること。

(2)投資教育を行う事業主等は、(1)の趣旨に鑑み、運用の指図を行うことが想定される加入者等となる時点において投資教育がなされているよう努めること。

(3)投資教育を行う事業主等は、常時上記(1)及び(2)に記した責務を十分認識した上で、加入者等の利益が図られるよう、当該業務を行う必要があること。

2.加入時及び加入後の投資教育の計画的な実施について

(1)加入時には、実際に運用の指図を経験していないことから、確定拠出年金制度における運用の指図の意味を理解すること、具体的な資産の配分が自らできること及び運用による収益状況の把握ができることを主たる目的として、そのために必要な基礎的な事項を中心に教育を行うことが効果的である。事業主等は過大な内容や時間を設定し、形式的な伝達に陥ることのないよう、加入者等の知識水準や学習意欲等を勘案し、内容、時間、提供方法等について十分配慮し、効果的な実施に努めること。

(2)加入後の継続的な投資教育は、加入時に基本的な事項が習得できていない者に対する再教育の機会として、また、制度に対する関心が薄い者に対する関心の喚起のためにも極めて重要である。このため、事業主等は、加入後も定期的かつ継続的に投資教育の場を提供し、加入者等の制度理解の向上や、自身のライフプランの中で適切な運用となっているかを確認するよう促していく必要がある。

加入者が実際に運用の指図を経験していることから、加入前の段階では理解が難しい金融商品の特徴や運用等についても運用の実績データ等を活用し、より実践的、効果的な知識の習得が期待される。

(3)加入時及び加入後の投資教育については、それぞれ、上記のような目的、重要性を有するものであり、その性格の相違に留意し、実施に当たっての目的を明確にし、加入後の教育を含めた計画的な実施に努めること。

3.法第22条の規定に基づき加入者等に提供すべき具体的な投資教育の内容

(1)投資教育を行う事業主等は、2で述べたように、加入時及び加入後の投資教育の目的、性格等に応じて、(3)に掲げる事項について、加入時、加入後を通じた全般の計画の中で、加入者等が的確かつ効果的に習得できるよう、その内容の配分に配慮する必要がある。

また、事後に、アンケート調査、運用の指図の変更回数等により、目的に応じた効果の達成状況を把握することが望ましい。

(2)特に、加入後の継続的な投資教育においても加入時とあわせて定期的に積極的に行うよう努めることとし、次のような事項について留意すること。

 ① 運用の指図を行う対象となる商品(以下「運用の方法」という。)に対する資産の配分、運用の指図の変更回数等の運用の実態、コールセンター等に寄せられた質問等の分析やアンケート調査により、対象となる加入者等のニーズを十分把握し、対象者のニーズに応じた内容となるよう、配慮する必要がある。

 なお、確定拠出年金運営管理機関は制度の運用の実態等を定期的に把握・分析し、事業主に情報提供するとともに、必要な場合には投資教育に関する助言をするよう努めること。

 ② 基本的な事項が習得できていない者に対しては、制度に対する関心を喚起するよう十分配慮しながら、基本的な事項の再教育を実施すること。

 また、加入者等の知識及び経験等の差が拡大していることから、より高い知識及び経験を有する者にも対応できるメニューに配慮することが望ましい。

 ③ 具体的な資産配分の事例、金融商品ごとの運用実績等の具体的なデータを活用すること等により、運用の実際が実践的に習得できるよう配慮することが効果的である。

(3)具体的な内容

 ① 確定拠出年金制度等の具体的な内容

  ア わが国の年金制度の概要、改正等の動向及び年金制度における確定拠出年金の位置づけ

  イ 確定拠出年金制度の概要(次の(ア)から(ケ)までに掲げる事項)

   (ア)制度に加入できる者とその拠出限度額(企業型年金加入者掛金を導入している事業所には、企業型年金加入者掛金の拠出限度額とその効果を含む。)

   (イ)運用の方法の範囲、加入者等への運用の方法の提示の方法及び運用の方法の預替え機会の内容

   (ウ)運用の指図は加入者自身が自己の責任において行うこと

   (エ)指定運用方法を選定及び提示している場合は、指定運用方法の概要。また、指定運用方法により運用されたとしても、加入者自身の資産形成状況やライフプラン等に適した運用の方法が選択されているかどうかを確認し、自身に適さない運用の方法であれば他の運用の方法を選択すべきであること

   (オ)給付の種類、受給要件、給付の開始時期及び給付(年金又は一時金の別)の受取方法

   (カ)加入者等が転職又は離職した場合における資産の移換の方法

   (キ)拠出、運用及び給付の各段階における税制措置の内容

   (ク)事業主、国民年金基金連合会、企業年金連合会、確定拠出年金運営管理機関及び資産管理機関の役割

   (ケ)事業主、国民年金基金連合会、確定拠出年金運営管理機関及び資産管理機関の行為準則(責務及び禁止行為)の内容

 ② 金融商品の仕組みと特徴

 預貯金、信託商品、投資信託、債券、株式、保険商品等それぞれの金融商品についての次の事項

  ア その性格又は特徴

  イ その種類

  ウ 期待できるリターン

  エ 考えられるリスク

  オ 投資信託、債券、株式等の有価証券や変額保険等については、価格に影響を与える要因等

 ③ 資産の運用の基礎知識

  ア 資産の運用を行うに当たっての留意点(すなわち金融商品の仕組みや特徴を十分認識した上で運用する必要があること)

  イ リスクの種類と内容(金利リスク、為替リスク、信用リスク、価格変動リスク、インフレリスク(将来の実質的な購買力を確保できない可能性)等)

  ウ リスクとリターンの関係

  エ 長期運用の考え方とその効果

  オ 分散投資の考え方とその効果

  カ 年齢、資産等の加入者等の属性によりふさわしい運用の方法のあり方は異なり得るため一律に決まるものではないが、長期的な年金運用の観点からは分散投資効果が見込まれるような運用の方法が有用である場合が少なくないこと

 ④ 確定拠出年金制度を含めた老後の生活設計

  ア 老後の定期収入は現役時代と比較し減少するため、資産形成は現役時代から取り組むことの必要性

  イ 平均余命などを例示することで老後の期間が長期に及ぶものであること及び老後に必要な費用についても長期にわたり確保する必要があること。

  ウ 現役時代の生活設計を勘案しつつ、自身が望む老後の生活水準に照らし、公的年金や退職金等を含めてもなお不足する費用(自身が確保しなければならない費用)の考え方

  エ 現役時代の生活設計を勘案しつつ、老後の資産形成の計画や運用目標の考え方(リタイヤ期前後であれば、自身の就労状況の見込み、保有している金融商品、公的年金、退職金等を踏まえた資産形成の計画や運用目標の考え方)

  オ 加入者等が運用の方法を容易に選択できるよう、運用リスクの度合いに応じた資産配分例の提示

  カ 離転職の際には、法第83条の規定による個人別管理資産の連合会への移換によることなく、法第80条及び第82条の規定により個人別管理資産を移換し、運用を継続していくことが重要であること。

(4)加入者等に、運用プランモデル(老後までの期間や老後の目標資産額に応じて、どのような金融商品にどの程度の比率で資金を配分するかを例示したモデル)を示す場合にあっては、提示運用方法に元本確保型の運用の方法(令第15条第1項の表の1の項イ若しくはロ、2の項イ、3の項イからホまで、4の項イ又は5の項イの区分に該当する運用の方法を指す。以下同じ。)が含まれるときは、元本確保型のみで運用する方法による運用プランモデルも含め、選定した運用の方法間の比較ができるように工夫し、提示するものとすること。

また、退職時期を意識しリスク管理を行うことが一般的であり、老後までに時間がある若年層は比較的リスクが取りやすく、老後を間近に控える高年層や資産を取り崩しながら受給する期間はリスクを抑えるといった投資の基本的な考え方を意識付けることが望ましい。

4.加入者等への具体的な提供方法等

(1)投資教育を行う事業主等は、次に掲げる方法により、加入者等に提供すること。

 ① 投資教育の方法としては、例えば資料やビデオの配布(電磁的方法による提供を含む。)、説明会の開催等があるが、各加入者等ごとに、当該加入者の資産の運用に関する知識及び経験等に応じて、最適と考えられる方法により行うこと。

 ② 事業主等は、加入者等がその内容を理解できるよう投資教育を行う責務があり、加入者等からその内容についての質問や照会等が寄せられた場合には、速やかにそれに対応すること。

 特に、加入後の投資教育においては、加入者等の知識等に応じて、個別・具体的な質問、照会等が寄せられることから、コールセンター、メール等による個別の対応に配慮することが望ましい。

 また、テーマ等を決めて、社内報、インターネット等による継続的な情報提供を行うことや、既存の社員研修の中に位置付けて継続的に実施することも効果的である。

 ③ 確定拠出年金制度に対する関心を喚起するため、公的年金制度の改革の動向や他の退職給付の内容等の情報提供を併せて行うことにより、自らのライフプランにおける確定拠出年金の位置づけを考えられるようにすることが効果的である。

(2)事業主が確定拠出年金運営管理機関又は企業年金連合会に投資教育を委託する場合においては、当該事業主は、投資教育の内容・方法、実施後の運用の実態、問題点等、投資教育の実施状況を把握するよう努めること。

また、加入者等への資料等の配布、就業時間中における説明会の実施、説明会の会場の用意等、できる限り協力することが望ましい。

加入後の投資教育についても、その重要性に鑑み、できる限り多くの加入者等に参加、利用の機会が確保されることが望ましい。

5.投資教育と確定拠出年金法で禁止されている特定の運用の方法に係る金融商品の勧奨行為との関係

(1)事業主等が上記3に掲げる投資教育を加入者等に行う場合には、当該行為は法第100条第6号に規定する禁止行為には該当しないこと。

(2)なお、事業主等が、価格変動リスク又は為替リスクが高い株式、外国債券、外貨預金等(この(2)において「株式等」という。)のリスクの内容について加入者等に十分説明した上で、老後までの期間及び老後の目標資産額に応じて株式等での運用を含んだ複数の運用プランモデルの提示を行う場合にあっても、当該行為は法第100条第6号に規定する禁止行為には該当しないこと。

第4 運用の方法の選定及び提示に関する事項

1.法第23条第1項の運用の方法に関する事項

(1)運用の方法の選定及び提示については、法第23条第1項において上限が定められているが、今後の運用の方法の追加等も念頭に、上限まで選定する(追加する)のではなく、加入者等が真に必要なものに限って運用の方法が選定されるよう、確定拠出年金運営管理機関(運営管理業務を営む事業主を含む。以下この第4から第6までの事項において「確定拠出年金運営管理機関等」という。)と労使が十分に協議・検討を行って運用の方法を選定し、また定期的に見直していくこと。

その際、以下の点に留意すること。

  ア 運用の方法の全体のラインナップが加入者等の高齢期の所得確保の視点から見て、バランスのとれたものであること。

  イ 加入者等の効果的な運用に資するよう、個々の運用の方法の質(手数料を含む。)を十分吟味し、その選定理由を説明すること。

  定期的な見直しを行った場合は、加入者等に対し、見直しの結果及びその理由を示すこと。

(2)法第23条第1項の規定により選定及び提示する運用の方法には指定運用方法に選定した運用の方法を含めること。

(3)運用の方法の提示に当たっては、運用の方法を選定及び提示する確定拠出年金運営管理機関等が、個々の運用の方法の選定理由に加えて運用の方法の全体構成に関する説明を行うとともに、個別の運用の方法の推奨が禁止されていることに留意しつつ、例えば次のような提示の工夫をすること。

 ① 元本確保型の運用の方法と投資信託等に分けて表示し、元本確保型についてはその種類(預金、生命保険、損害保険等)、投資信託等については投資信託の種類(伝統的4資産(国内株式・国内債券・外国株式・外国債券)等)、パッシブ・アクティブ等の区分を示すこと。

 ② 一般的な指数によるパッシブ運用の投資信託を一括りにして「基本的な運用の方法」等、アクティブ運用やオルタナティブ運用を一括りにして「応用的な運用の方法」等と示すこと。なお、運用の方法を括るに当たっては客観的事由に基づき一括りにし、その事由についても説明すること。

 ③ 運用の方法の一覧表の中において、手数料(投資信託の販売手数料率、信託報酬率、信託財産留保(額)率、保険商品の解約控除等)を示すこと。

(4)運用の方法の選定及び提示に当たっては、加入者等の選択の幅が狭められることのないよう、リスク・リターン特性の異なる運用の方法から、令第15条第1項の表の中欄のうち3つ以上の区分に該当する運用の方法を適切に選定し、加入者等に提示すること。ただし、同項2の項ロ、3の項ヌ若しくはル、4の項ロ又は5の項ロの区分(以下「特定区分」という。)に該当する運用の方法から選定する場合には、当該特定区分に該当する運用の方法から資産の種類又は資産の配分が異なるよう留意して、運用の方法が適切に選定及び提示されていれば、特定区分から3以上選定することも可能であること。

さらに、加入者等の分散投資に資するため、令第16条第2号のとおり、元本確保型の運用の方法を1以上選定及び提示する場合は、当該区分以外の区分から2以上を選定及び提示すること。

また、令第16条第1号のとおり、令第15条第1項の表の2の項ニ又は3の項レからウまでの区分(個別社債、個別株式、自社株ファンド等)から運用の方法を選定した場合は、他の区分から3以上の運用の方法を選定及び提示しなければならないこと。

2.法第23条の2の指定運用方法に関する事項

個人別管理資産の運用の指図のない状態を回避する方法として、加入者から運用の指図が行われるまでの間において運用を行うため、法第23条の2第1項により、企業型年金規約に定めるところにより指定運用方法を選定及び提示する場合には、次の取扱いによるものとすること。

なお、指定運用方法については、法第23条の2第1項の規定により確定拠出年金運営管理機関等が提示を行うが、指定運用方法の選定及び提示に当たっては、労使が確定拠出年金運営管理機関等から必要な説明や情報提供を受けた上で、労使と確定拠出年金運営管理機関等が十分に協議し、労使協議の結果を尊重して決定する必要がある

(1)指定運用方法の基本的な考え方と基準

指定運用方法については、指定運用方法で運用を継続する加入者が一定数存在することが想定されることから、加入者が自ら運用の方法を選択して運用する場合と同様に、確定拠出年金制度の趣旨を踏まえ、高齢期の所得確保に資する運用を目指すものであることが求められる。また、施行規則第19条に規定する指定運用方法の基準(要件)は、法第23条の2第2項の趣旨を踏まえ、高齢期の所得確保に資する運用として、運用の指図を行わない加入者がその運用の方法に対して運用の指図を行ったものとみなされた場合においても適切なものとなるよう定めたものであり、当該基準については、さらに以下に留意すること。

 ① 「物価、外国為替相場、金利その他経済事情の変動に伴う資産価値の変動による損失の可能性」

 インフレリスク(将来の実質的な購買力を確保できない可能性)、為替リスク、金利リスク、信用リスク、価格変動リスク等のことを想定。

 ② 「加入者の集団」

 当該企業における加入者の集合体のこと。確定拠出年金運営管理機関等は、労使と協議を行う際に、加入者属性や加入者ニーズ等加入者の集団に係る視点を踏まえる必要があること。その際、指定運用方法により運用されると見込まれる加入者の特徴について考慮・検討することが重要であること。

 ③ 「その他これらに類する費用」

 販売手数料、信託財産留保額、保険商品の解約控除等のこと。

(2)指定運用方法の基準の留意点

 ① (1)の基準による指定運用方法の選定及び提示に当たっては、法の目指す目的を踏まえ、加入者の集団のリスク許容度や期待収益等を考慮・検討しながら、指定運用方法にふさわしい運用の方法を決定することが適当であり、その際の着眼点としては、例えば次に掲げる事項が考えられる。

  ア 主に加入者の集団に係るもの

  加入者の集団の属性(年齢別構成、退職までの平均勤続年数等)、金融商品への理解度、加入者のニーズ、想定利回りや掛金額等退職給付における位置づけ 等

  イ 主に金融商品に係るもの(リスク・リターン特性)

  期待収益率、価格の変動の大きさ、運用結果が拠出した掛金の合計額を上回る可能(確実)性、インフレリスクに対応し実質的に購買力を維持できる可能性、分散投資効果 等

 ② (1)の基準や(2)①の着眼点に基づき、リスク・リターン特性が異なる金融商品、具体的には、元本確保型の運用の方法から分散投資に資する運用の方法までの様々な選択肢の中から、指定運用方法を選定すること。

 ③ 指定運用方法に係る手数料、信託報酬その他これらに類する費用に関連し、指定運用方法から他の運用の方法へ指図を変更する際に、指定運用方法の解約等に伴い手数料(信託財産留保額、保険商品の解約控除等)が発生する運用の方法については、当該手数料の水準等によって、他の運用の方法への運用の指図の変更の妨げになる可能性があることにも留意すること。

(3)指定運用方法の選定のプロセス

 ① 指定運用方法を選定するにあたっては、(1)の基準や(2)①の着眼点に基づき加入者の集団の属性等を踏まえる必要があることから、事業主は、施行規則第19条の2第2項に基づき、確定拠出年金運営管理機関に対して加入者の集団の属性等に関する情報を提供するよう努めること。

 ② 確定拠出年金運営管理機関等は、事業主に対して、指定運用方法の候補となる運用の方法を示し、当該運用の方法が(1)の基準や(2)①の着眼点に適合する運用の方法である理由を説明すること。

 その際、確定拠出年金運営管理機関等は、労使に対して、具体的な金融商品のリスク・リターン特性等の指定運用方法の選定に必要な情報を、運用方針や手数料控除後の収益の見込み等を表示する等わかりやすい方法で提供すること。

 ③ 令第6条第8号ロを踏まえ、事業主は、②で示された指定運用方法の候補となる運用の方法が加入者の集団にとって適切であるかを労使で協議し、その結果を確定拠出年金運営管理機関等に伝達すること。この際、実施事業所が二以上であるときは、各実施事業所において労使で協議しなければならない。

 ④ 確定拠出年金運営管理機関等は、③の労使協議の結果を尊重して、(1)の基準や(2)①の着眼点に適合する指定運用方法を選定すること。

 ⑤ なお、指定運用方法については、実施事業所ごとに選定及び提示を行うことが可能であること。

(4)加入者への情報提供等

 ① 指定運用方法は、加入者が一定期間運用の指図を行わないような例外的な場合に、加入者の運用指図権を保護するために整備された規定である。加入者が自ら運用の指図を行うことを促す観点から、指定運用方法を運用の方法とする運用の指図を行ったものとみなされた場合においても、個々の加入者が、自身の資産形成状況やライフプラン等に適した運用の方法が選択されているかどうかを確認し、自身に適さない運用の方法であれば他の運用の方法を選択すべきであることを説明する必要がある。

 このため、確定拠出年金運営管理機関等は、加入者に対し、自ら運用の方法を選択して運用を行うよう促した上で、指定運用方法の仕組みや当該指定運用方法を法令の基準に基づきどのような考えで選定したか(選定理由)を(1)の基準や(2)①に掲げた着眼点を踏まえながら、十分に説明すること。その際には、具体的な金融商品のリスク・リターン特性等について、運用方針や手数料控除後の収益の見込み等をイメージしやすいようにする等わかりやすい方法で提供すること。

 ② 指定運用方法については、本人の運用の指図がないにもかかわらず本人が運用の指図を行ったものとみなされるため、本人の運用指図権を侵さないよう十分留意する必要がある。このことを踏まえ、運用指図権に関する加入者保護を徹底し、受託者責任を果たす観点から、次の措置を講ずることが望ましいこと。

  ア 確定拠出年金運営管理機関等は、加入者から指定運用方法を運用の方法とする運用の指図を行ったものとみなされる旨を理解したことの確認を得ること。

  イ 確定拠出年金運営管理機関等は、指定運用方法の運用の結果(利益・損失)について、その責任は加入者本人に帰属することに加え、元本確保型の運用の方法などが指定運用方法に選定されている場合には、より収益を上げる投資機会を逃す可能性があることや、インフレになれば実質的な購買力を確保できない可能性があることについても、加入者へ情報提供すること。

 ③ 指定運用方法を運用の方法とする運用の指図を行ったものとみなされた後も、自ら選択して運用の指図を行うことは可能であるため、指定運用方法を運用の方法とする運用の指図を行ったものとみなされた後においても、資産額通知や継続投資教育等あらゆる機会を利用して、指定運用方法を変更して運用の指図を行うことができることなどについて、事業主と確定拠出年金運営管理機関がそれぞれの役割に従って、加入者に継続的な情報提供や働きかけを行っていくこと。とりわけ、中小企業においては、自ら選択して運用の指図を行っていない加入者の割合が高い傾向にあることから、投資教育等において積極的な働きかけを行うこと。

(5)あらかじめ定められた運用の方法

確定拠出年金法等の一部を改正する法律(平成28年法律第66号。以下「改正法」という。)施行前より「あらかじめ定められた運用の方法」を企業型年金規約に規定していた場合においても、上記指定運用方法の基準等に沿って、改めて十分に労使で協議した上で、指定運用方法を定めること。

なお、指定運用方法を運用の方法とする運用の指図を行ったものとみなされる対象は、改正法施行後の新たな加入者である。企業型年金規約に「あらかじめ定められた運用の方法」が規定されており、改正法施行前の加入者等であって自ら運用の指図を行なわず、「あらかじめ定められた運用の方法」により運用を継続している者については、別途、運用の指図を行わない限り、引き続き、改正法施行後も当該運用の方法により運用を継続することとなる。

ただし、その場合であっても、(4)①と同様に、当該運用の方法が自身の資産形成状況やライフプラン等に適した運用の方法が選択されているかどうかを確認し、自身に適さない運用の方法であれば他の運用の方法を選択するよう、加入者等に促すとともに、その後の運用の指図が不要であるとの誤解を招くことのないよう、次に掲げる事項を加入者等に定期的に情報提供するものとすること。

  ア 当該運用の方法により運用を行っている者については、いつでも運用の指図ができること

  イ 当該運用の方法により損失が生じた場合には、その責任は加入者等本人が負うこと

第5 運用の方法に係る金融商品の情報提供に関する事項

1.運用の方法に係る金融商品について情報提供すべき具体的な内容

確定拠出年金運営管理機関等が加入者等に対し運用の方法に係る金融商品の情報提供を行う場合の具体的な内容については、法第24条及び第24条の2に基づく施行規則第20条第1項及び第2項に規定しているところであるが、同条第1項第1号中「運用の方法の内容」に係る具体的な情報の内容及びその提供方法は、各運用の方法に係る金融商品ごとに、元本確保型の運用の方法であるか否かを示した上で、次に掲げる内容及び方法とすること。

(1)預貯金(金融債を含む。)について

銀行法施行規則(昭和57年大蔵省令第10号)第13条の3第1項各号に規定する内容に相当するものについて、同条に準じた方法(電磁的方法による提供を含む。)により情報提供を行うものとすること。

(2)信託商品について

次に掲げる事項を記載した書類の交付又は電磁的方法により情報提供を行うものとすること。

 ① 商品名

 ② 信託期間(契約期間、信託設定日、償還期日、繰上償還の説明、自動継続扱いの有無)

 ③ 運用の基本方針、運用制限の内容

 ④ 信託金額の単位

 ⑤ 収益金の計算方法、支払方法

 ⑥ 予想配当率

 ⑦ 他の運用の方法への預替えの場合の取扱い

(3)有価証券(令第15条第1項の表の2の項ニに規定する運用の方法に係る金融商品を含む。)について

 ① 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第10項に規定する目論見書の概要(商品名、信託期間、繰上償還の説明、ファンドの特色、投資リスク等)に記載される内容について、それを記載した書類の交付又は電磁的方法により情報提供を行うものとすること。

 ② なお、金融商品取引法第2条第10項に規定する目論見書に記載される内容については、少なくとも、加入者等から求めがあった場合に、次のいずれかの方法により速やかにその内容を提供するものとすること。

  ア 書類の交付

  イ 電磁的方法により内容を提供する方法

  ウ 実施事業所の事務所又は確定拠出年金運営管理機関の営業所に備え置き、加入者等の縦覧に供する方法

(4)生命保険、生命共済及び損害保険について

次の掲げる事項を記載した書類の交付又は電磁的方法により情報提供を行うものとすること。

 ① 保険又は共済契約の種類

 ② 一般勘定又は特別勘定に属するものの区別

 ③ 保険料又は共済掛金の額

 ④ 保険金額又は共済金額の算定方法

 ⑤ 予定利率があるものについてはその率

 ⑥ 保険期間又は共済期間(予定利率があるものについては、当該予定利率が適用される期間を含む。)

 ⑦ 支払事由

 ⑧ 加入者等の運用の指図により保険又は共済の全部又は一部を他の運用の方法に変更する場合における取扱い

 ⑨ 特別勘定に属するものについては、当該財産の運用の方針、種類及び評価の方法

2.加入者等に情報提供すべき過去10年間の実績の内容

確定拠出年金運営管理機関等は、施行規則第20条第1項第2号の規定に基づき、過去10年間における運用の方法に係る金融商品の利益又は損失の実績を加入者等に提供する場合には、少なくとも3か月ごとの当該運用の方法に係る金融商品の利益又は損失の実績を提供しなければならないこと。

3.施行規則第20条第4項の説明について

(1) 確定拠出年金運営管理機関は、制度上もっぱら加入者等の利益のみを考慮して中立な立場で運営管理業務を行うものとして位置づけられているところであり、こうした趣旨に基づき、法第100条において、特定の運用の方法に係る金融商品について指図を行うことを勧める行為の禁止をはじめ、各種の禁止行為が規定されているところである。したがって、金融商品の販売等を行う金融機関が自ら確定拠出年金運営管理機関として運用関連業務を行う場合には、あくまでも中立な立場で業務を行い、当該禁止行為が確実に行われないようにするとともに、確定拠出年金運営管理機関に対する国民の信頼が確保されるよう、法第23条第1項の政令で定める運用の方法に係る商品の販売若しくはその代理若しくは媒介又はそれらに係る勧誘に関する事務を行う者(いわゆる営業職員)が、運用の方法の情報の提供を行う場合又は営業職員以外の職員が運用の方法の情報提供を行う際に営業職員が同席する場合にあっては、加入者等に対し、書面の交付その他の適切な方法により、法第23条第1項の政令で定める運用の方法に係る商品の販売若しくはその代理若しくは媒介又はそれらに係る勧誘との誤認を防止するための説明を行うこととしたものであること。

(2)法第23条第1項の政令で定める運用の方法に係る商品の販売若しくはその代理若しくは媒介又はそれらに係る勧誘との誤認を防止するための説明としては、少なくとも、以下の事項を説明すること。

 ① 運用の方法の情報の提供は確定拠出年金運営管理機関として行うこと。

 ② 特定の運用の方法の推奨が禁止されていること。

4.情報提供に関する留意事項

確定拠出年金は、個々の加入者等が自己責任により運用し、その運用結果によって給付額が決定される制度であることから、加入者等が適切に運用指図を行うことができるよう、加入者等が運用の方法の具体的内容について理解することが重要である。この趣旨に鑑み、運用の指図を行うことが想定される加入者等となる時点において運用の方法の情報提供が行われている必要があることに留意すること。

第6 運用の方法の除外に関する事項

1.運用の方法の除外の具体的な手順について

確定拠出年金運営管理機関等は、運用の方法の除外をしようとするときは、以下の手順により行うこと。

(1)確定拠出年金運営管理機関等は、労使で十分に協議・検討された結果を踏まえ、

 ① どの運用の方法を除外しようとするか

 ② 既に保有している運用の方法について、売却を伴う除外とするか又は売却を伴わない除外とするか(以下「除外の方法」という。)

 を決定すること。

(2)確定拠出年金運営管理機関等は、除外しようとする運用の方法を選択して運用の指図を行っている加入者等(以下「除外運用方法指図者」という。)に運用の方法を除外しようとする旨及び除外の方法を通知した上で、法第26条第1項の運用の方法の除外に係る同意を得ること。

 (注)確定拠出年金運営管理機関等は、再委託先である記録関連運営管理機関から、除外運用方法指図者の情報を入手する。

 (注)法第26条第2項に基づき、除外の通知をした日から規約で定める期間(3週間以上)を経過してもなお除外運用方法指図者から意思表示を受けなかった場合は、除外運用方法指図者は同意をしたものとみなすことができる旨、当該通知で記載すること。

(3)除外運用方法指図者(所在が明らかでないものを除く)の3分の2以上の同意が得られた場合、除外することが決定したことを加入者等に周知した上で、他の運用の方法へ運用の指図を変更するよう、除外運用方法指図者に促すこと。

(4)確定拠出年金運営管理機関等は運用の方法を除外した旨、除外運用方法指図者に通知する。

 (注)除外する運用方法について売却を伴わない除外とする場合、除外運用方法指図者に対する運用方法を除外した旨の通知は、(3)の周知にあわせて当該運用の方法を除外する日を通知することをもって代えることができる。

 (注)法第26条第3項に基づき、除外運用方法指図者の所在が明らかでないため当該通知をすることができないときは、公告を行う。

 (注)仮に除外時までに運用の指図の変更が行われなかった場合において、指定運用方法が提示されたときは、企業型年金規約で定める期間経過後、除外対象となっている運用の方法に係る掛金に相当する個人別管理資産について、当該指定運用方法を運用の方法とする運用の指図を行ったものとみなされること。

2.運用の方法の除外に当たって考慮すべき事項について

運用の方法の除外に当たっては、実務上、以下の点に留意すること。

 ・ 除外する運用の方法を決定する際には、次に掲げる要素を考慮すること

 信託報酬等の手数料の水準、運用成績、運用の方法の除外後の運用の方法の全体の構成、当該運用の方法に対し運用の指図をしている者の数 等

 ・ 除外しようとする運用の方法を決定した確定拠出年金運営管理機関等は、除外運用方法指図者等へ情報提供を行う際には、上記考慮要素を踏まえて当該運用の方法を除外することになった理由を説明すること

第7 障害給付金の支給要件に関する事項

確定拠出年金の障害給付金については、令第19条の規定により、加入者等が国民年金法(昭和34年法律第141号)第30条第2項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することをその支給要件としている。

確定拠出年金運営管理機関等は、加入者等から障害給付金の給付の裁定の請求が行われた場合において、当該加入者が次に掲げる者であることを確認したときは、障害給付金の支給の裁定を行っても差し支えないこと。

(1)障害基礎年金の受給者

(2)身体障害者手帳(1級から3級までの者に限る)の交付を受けた者

(3)療育手帳(重度の者に限る)の交付を受けた者

(4)精神障害者保健福祉手帳(1級及び2級の者に限る)の交付を受けた者

第8 厚生年金基金、確定給付企業年金等から企業型年金への資産の移換に関する事項

1.厚生年金基金等の加入員等が負担した掛金等を原資とする部分の算定方法等

令第22条第1項第1号及び公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令第3条第4項によりなおその効力を有するものとされた改正前確定拠出年金法施行令第22条第1項第1号に規定する「原資とする部分」とは、資産のうち、加入員等の負担に基づいて行われる給付であって、基準日(厚生年金基金等の規約変更日(解散又は終了にあってはその日))までに発生しているとみなすことが合理的である給付に相当する部分をいうこと。

なお、厚生年金基金等から企業型年金への資産の移換にあたり、加入員等が、当該加入員等が負担した掛金等を原資とする部分の移換に同意しない場合にあっては、当該部分を除いた資産を移換するものとすること。

ただし、確定給付企業年金の加入者等が負担した掛金を原資とする部分を移換する場合にあっては、確定給付企業年金の本人拠出相当額は拠出時に課税、給付時に非課税の取扱いとなっているが、企業型年金へ資産を移換した場合にあっては、給付時に課税されることとなることを当該加入者等に十分説明したうえで同意を取る必要があること。

2.退職手当制度から企業型年金に移換できる資産の内容

令第22条第1項第5号に規定する「相当する部分」とは、同号のイに掲げる額からロ及びハに掲げる額を控除した額に、移行日(同号に規定する移行日。以下同じ。)から資産の移換を受ける最後の年度までの期間に応ずる利子に相当する額を加えた額とすること。

なお、この場合に用いる利率は、移行日における確定給付企業年金法施行規則(平成14年厚生労働省令第22号)第43条第2項第1号の規定に基づいて厚生労働大臣が定める率(零を下回る場合にあっては、零)とすること。

第9 行為準則及び業務管理態勢に関する事項

1.事業主の行為準則

(1)忠実義務(法第43条第1項)の内容

事業主は、少なくとも次の事項に留意しなければならないこと。

 ① 確定拠出年金運営管理機関及び資産管理機関については、もっぱら加入者等の利益のみを考慮して、運営管理業務や資産管理業務の専門的能力の水準、提示されることが見込まれる運用の方法、業務・サービス内容(加入者等から企業型年金の運営状況に関する照会があったときは、誠実かつ迅速に対応できる体制を整備していることを含む。以下同じ。)、手数料の額等に関して、複数の確定拠出年金運営管理機関又は資産管理機関について適正な評価を行う等により選任すること。

 特に、事業主が、緊密な資本関係、取引関係又は人的関係がある確定拠出年金運営管理機関又は資産管理機関(確定拠出年金運営管理機関又は資産管理機関と緊密な資本又は人的関係のある法人を含む。)を選任できるのは、当該機関の専門的能力の水準、提示されることが見込まれる運用の方法、業務・サービス内容、手数料の額等に関して適正な評価を行った結果、合理的な理由がある場合に限られるものであること。

 また、法第3条第1項又は第5条第2項の規定に基づき、企業型年金に係る規約を作成する場合又は企業型年金規約に規定する事項のうち確定拠出年金運営管理機関若しくは資産管理機関の変更を行う場合にあっては、労働組合又は第一号等厚生年金被保険者(法第9条第2項第2号に該当する者を除く。)の過半数を代表する者の同意を得る際に、当該第一号等厚生年金被保険者又は加入者等に対し、当該確定拠出年金運営管理機関又は資産管理機関を選定した理由を示すこと。

 ② 事業主は、企業型確定拠出年金制度を実施する主体であり、もっぱら加入者等の利益のみを考慮して、確定拠出年金運営管理機関を選定する必要があることから、確定拠出年金運営管理機関に委託している運営管理業務のうち特に運用関連業務がもっぱら加入者等の利益のみを考慮して、適切に行われているかを確認するよう努める必要がある。

 事業主は、少なくとも、下記事項について、確定拠出年金運営管理機関から合理的な説明を受けるよう努めること。

  ア 提示された商品群の全て又は多くが1金融グループに属する商品提供機関又は運用会社のものであった場合、それがもっぱら加入者等の利益のみを考慮したものであるといえるか。

  イ 下記(ア)~(ウ)のとおり、他の同種の商品よりも劣っている場合に、それがもっぱら加入者等の利益のみを考慮したものであるといえるか。

   (ア)同種(例えば同一投資対象・同一投資手法)の他の商品と比較し、明らかに運用成績が劣る投資信託である。

   (イ)他の金融機関が提供する元本確保型商品と比べ提示された利回りや安全性が明らかに低い元本確保型商品である。

   (ウ)同種(例えば同一投資対象・同一投資手法)の他の商品と比較して、手数料や解約時の条件が良くない商品である。

  ウ 商品ラインナップの商品の手数料について、詳細が開示されていない場合又は開示されているが加入者にとって一覧性が無い若しくは詳細な内容の閲覧が分かりにくくなっている場合に、なぜそのような内容になっているか。

  エ 確定拠出年金運営管理機関が事業主からの商品追加や除外の依頼を拒否する場合、それがもっぱら加入者等の利益のみを考慮したものであるか。

 ③ 資産の運用に関する情報提供に係る業務(いわゆる投資教育)を企業年金連合会、確定拠出年金運営管理機関又はその他の者に委託する場合においては、委託先の機関等が本通達第3の1から3まで規定する内容及び方法に沿って、加入者等の利益のみを考慮して適切に当該業務を行うことができるか否かを十分考慮した上で行うこと。

 ④ 企業型年金加入者等に対し、自社株式又は関連企業の発行する株式(主に自社株式又は関連企業の発行する株式で運用する投資信託などを含む。以下同じ。)を運用の方法として提示することは、もっぱら加入者等の利益のみを考慮してその業務を遂行しなければならないという忠実義務の趣旨に照らし妥当であると認められる場合に限られるものであること。

 また、自社株式又は関連会社の発行する株式を運用の方法として提示したときは、当該株式を発行する企業が倒産した場合には、加入者等の個人別管理資産のうち当該株式での運用に係る部分の資産が零となる可能性が高いこと(すなわち倒産リスクがあること)を、加入者等に対し、十分に情報提供するようにすること。

 ⑤ 法、令及び施行規則に規定された事業主の行為準則等を遵守すること。

 ⑥ 加入者等から企業型年金の実施状況に関し照会又は苦情があったときは、当該照会又は苦情に事業主自らが誠実かつ迅速に対応するか又は確定拠出年金運営管理機関に誠実かつ迅速に対応させること。

 ⑦ 事業主が選任した確定拠出年金運営管理機関及び資産管理機関から、その業務の実施状況等について少なくとも年1回以上定期的に報告を受けるとともに、加入者等の立場から見て必要があると認められる場合には、その業務内容の是正又は改善を申し入れること。

 また、当該確定拠出年金運営管理機関及び資産管理機関が事業主の申し入れに従わず、又はその業務の実施状況等により運営管理業務又は資産管理業務を継続することが困難であると認めるときは、法第5条に規定する手続きを経て、その委託契約等を取消し、当該運営管理業務を自ら実施するか又は他の確定拠出年金運営管理機関若しくは資産管理機関を選任すること。

(2)個人情報保護義務(法第43条第2項)の内容

 ① 法第43条第2項中の「業務の遂行に必要な範囲内」には、例えば、次のアからウに掲げる場合についても該当するものであること。

  ア 事業主が、退職により資格を喪失した者に対して、個人別管理資産額を踏まえた手続きの説明を行うため、脱退一時金の受給要件の判定に必要な範囲内において、個人別管理資産額に関する情報を活用する場合

  イ 事業主が、資格を喪失後一定期間を経過した後も個人別管理資産の移換の申出を行っていない者に対して、当該申出が速やかに行われるよう促すため、氏名や住所等の情報を活用する場合

  ウ 事業主が、企業型年金運用指図者に影響を及ぼす規約変更を行う場合において、その内容を周知させるため、氏名や住所等の情報を活用する場合

 ② 事業主が加入者等の個人情報を取り扱うに当たっては、①によるほか、技術的安全管理措置については「私的年金分野における個人情報の技術的安全管理措置」(平成29年厚生労働省告示第211号)の規定によることとし、その他の個人情報の取扱いについては「個人情報の保護に関する法律」(平成15年法律第57号)その他関係法令及び「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(平成28年個人情報保護委員会告示第6号)の規定によることとすること。

(3)自社株式の推奨等の禁止

事業主の禁止行為については、法第43条第3項及び施行規則第23条に規定しているところであるが、特に、

 ① 事業主が、加入者等に対し、自社株式又は自社債券(これに類するものを含む。)や関連会社の株式又は債券(これに類するものを含む。)などの特定の運用の方法に係る金融商品について指図を行うことや、指図を行わないことを勧めること(施行規則第23条第3号)、

 ② 事業主が、企業型年金加入者等に対し、自己(すなわち当該事業主)又は自己と人的又は取引関係のある関連会社などの第三者に運用の指図を委任することを勧めること(施行規則第23条第4号)

 などは、いかなる場合であっても禁止されるものであり、こうした禁止行為に該当する、あるいは該当するおそれがあるような行為を行わないよう留意すること。

2.確定拠出年金運営管理機関の行為準則

(1)忠実義務(法第99条第1項)の内容

確定拠出年金運営管理機関は、少なくとも次の事項に留意しなければならないこと。

 ① 法、令、確定拠出年金運営管理機関に関する命令(以下「主務省令」という。)及び運営管理契約に従って運営管理業務を実施すること。

 ② 運用関連運営管理業務を行う確定拠出年金運営管理機関は、もっぱら加入者等の利益のみを考え、手数料等も考慮した加入者等の利益が最大となるよう、資産の運用の専門家として社会通念上要求される程度の注意を払いながら運用の方法に係る金融商品の選定、提示及びそれに係る情報提供を行うこと。なお、制度発足時点では、もっぱら加入者等の利益のみを考え、手数料等も考慮した加入者等の利益が最大となるよう、資産の運用の専門家として社会通念上要求される程度の注意を払いながら運用の方法に係る金融商品の選定、提示及びそれに係る情報提供を行っていたとしても、その後定期的に見直しを行わなければ、期間の経過により、そうでなくなる可能性があることから、確定拠出年金運営管理機関においても、事業主に対する説明責任を積極的に果たすとともに、事業主との意見交換等を踏まえつつ、定期的に、第10.2に記載する項目等、自己の運営管理業務の遂行状況を点検・確認し、必要に応じて見直しを行うこと。

 ③ 確定拠出年金運営管理機関は、企業型年金加入者掛金の拠出を導入している実施事業所の加入者に追加的に企業型年金加入者掛金を拠出した場合の年金額等への効果について情報提供を行うこと。

 ④ 加入者等に対し、株式(主に一の企業の発行する株式で運用する投資信託などを含む。以下同じ。)を運用の方法として提示することは、もっぱら加入者等の利益のみを考慮してその業務を遂行しなければならないという忠実義務の趣旨に照らし妥当であると認められる場合に限られるものであること。

 また、株式を運用の方法として提示したときは、当該株式を発行する企業が倒産した場合には、加入者等の個人別管理資産のうち当該株式での運用に係る部分の資産が零となる可能性が高いこと(すなわち倒産リスクがあること)を加入者等に対し、十分に情報提供すること。

 ⑤ 法、令及び主務省令に規定された確定拠出年金運営管理機関の行為準則等を遵守すること。

 ⑥ 加入者等から確定拠出年金の実施状況に関し照会又は苦情があったときは、当該照会又は苦情に誠実かつ迅速に対応すること。

 ⑦ 確定拠出年金運営管理機関が、その運営管理業務の一部を他の確定拠出年金運営管理機関に再委託する場合にあっては、委託先の選定基準を適切に定めていること。また、確定拠出年金運営管理機関が、その運営管理業務の一部を他の確定拠出年金運営管理機関に再委託している場合にあっては、当該再委託した確定拠出年金運営管理機関から、その業務の実施状況等について少なくとも年1回以上定期的に報告を受け、委託先の業務遂行能力や、法令及び契約条項の遵守状況について加入者等の立場から見て必要があると認められる場合には、その業務内容の是正又は改善を申し入れるとともに、その旨を事業主又は国民年金基金連合会に報告すること。

 また、当該再委託した確定拠出年金運営管理機関がその申し入れに従わず、又はその再委託した業務の実施状況により再委託を継続することが困難であると認めるときは、事業主又は国民年金基金連合会にその旨を報告し、法第5条に規定する手続きにしたがって、その再委託契約を取消し、他の確定拠出年金運営管理機関に再委託すること。

(2)個人情報保護義務(法第99条第2項)の内容

 ① 法第99条第2項中の「その他正当な事由がある場合」とは、次のア及びイに掲げる場合をいうものであること。

  ア 法令の規定に基づき、裁判所、税務署等から個人情報提出命令等があった場合

  イ 事業主からの依頼に基づき、当該事業主の企業型年金の実施に係る業務の遂行に必要な範囲内において、加入者等の個人情報を提供する場合

 ② ①イにおける場合とは、1(2)①に掲げる事項をいうものであること。

 ③ 確定拠出年金運営管理機関が加入者等の個人情報を取り扱うに当たっては、①及び②によるほか、技術的安全管理措置については「私的年金分野における個人情報の技術的安全管理措置」の規定によることとし、その他の個人情報の取扱いについては「個人情報の保護に関する法律」その他関係法令及び「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」の規定によることとすること。

(3)「特別の利益を提供」の内容

法第100条第2号中の「特別の利益を提供」とは、一般の場合と比較して有利な条件で与えられる利益又は一般には与えられない特恵的又は独占的利益の提供をいい、例えば、金銭の提供、有利な条件による物品等の譲渡、貸し付けその他信用の供与又は役務の提供等がこれに該当すること。

(4)法第100条第6号に関する事項

 ① 法第100条第6号中の「特定のものについて指図を行うこと、又は行わないことを勧めること」としては、例えば、以下の場合が該当すること。

  ア 加入者等に対し、特定の金融商品への資産の投資、預替え等を推奨又は助言すること。

  イ 加入者等に対し、価格変動リスク又は為替リスクが高い外貨預金、有価証券、変額保険等について、将来利益が生じることや将来の利益の見込み額が確実であると告げ、又は表示すること。

  ウ 加入者等に対し、提示した他の金融商品と比較して、特定の金融商品が有利であることを告げ、又は表示すること。

  エ 提示した運用の方法のうち一部の運用の方法について情報提供すること。ただし、加入者等から特定の運用の方法の説明を求められた場合において、運用の方法の一覧を示して行うときを除く。

 ② 運用の方法に係る金融商品の「提示」の際の留意点

 加入者等への運用の方法に係る金融商品の「提示」とは、確定拠出年金運営管理機関が選定した運用の方法に係る金融商品の名称(例えば、「○○銀行の1年もの定期預金の預入」等)を加入者等に示すことであり、その提示の際に、確定拠出年金運営管理機関は、当該運用の方法に係る金融商品への運用の指図を行うことを推奨又は助言してはならないこと。

 なお、加入者等から質問又は照会を受けた場合にあっても、特定の運用の方法に係る金融商品への運用の指図を行うことを推奨又は助言してはならないこと。

 ③ 「推奨」及び「助言」の内容

  ア 「推奨」の内容

  運用の方法に係る金融商品に関する「推奨」とは、当該金融商品を評価し、当該金融商品への運用の指図を行うことは良いこと又は好ましいことであるということを加入者等に伝えること。

  例えば、「この○○会社の発行する株式は、将来値上がり確実でいいものであるので、当該株式で運用する方がよい」ということを加入者等に述べること。

  イ 「助言」の内容

  運用の方法に係る金融商品に関する「助言」とは、当該金融商品への運用の指図を行うよう加入者等に伝えること。

  例えば、「この○○会社の発行する株式で運用すべきである」ということを加入者等に述べること。

(5)いわゆる営業職員に係る運用の方法の選定に係る事務の兼務の禁止

 ① 禁止の趣旨

 確定拠出年金運営管理機関は、制度上もっぱら加入者等の利益のみを考慮して中立な立場で運営管理業務を行うものとして位置づけられているところであり、こうした趣旨に基づき、法第100条において、特定の運用の方法に係る金融商品について指図を行うことを勧める行為の禁止をはじめ、各種の禁止行為が規定されているところである。したがって、金融商品の販売等を行う金融機関が自ら確定拠出年金運営管理機関として運用関連業務を行う場合には、あくまでも中立な立場で業務を行い、当該禁止行為が確実に行われないようにするとともに、確定拠出年金運営管理機関に対する国民の信頼が確保されるよう、金融商品の販売等を行ういわゆる営業職員は運用の方法の選定に係る事務を兼務してはならないこととしたものであること。

 ② 運用の方法の選定に係る事務を行うことができる者について

 上記①の趣旨を踏まえ、運用の方法の選定に係る事務を行うことができる者は、運営管理業務の専任者が行うことを基本とし、やむを得ず兼任者で対応する場合にあっても、当該兼任者は、個人に対し商品の販売若しくはその代理若しくは媒介又はそれらに係る勧誘に関する事務を行う者であってはならないこと。

 ③ 「役員、営業所の長その他これに類する者」について

 主務省令第10条第1号中の「その他これに類する者」とは、営業所の長が欠けたときにその職務を代理することとなる者であり、例えば、副支店長、副支社長、副支部長等をいうものであること。

(6)主務省令第10条第2号の内容

主務省令第10条第2号に関し、(5)①の趣旨を踏まえ、(4)の内容に留意して、営業職員が、確定拠出年金の運用の方法として加入者等に提示した運用の方法のうち特定のものについて指図を行うこと又は指図を行わないことを勧めることのないこと。

(7)主務省令第10条第6号の内容

比較表示に関し、例えば以下のような行為をした場合は、主務省令第10条第6号に該当すると考えられることから、これらの行為が行われないよう留意すること。

 ① 客観的事実に基づかない事項又は数値を表示すること。

 ② 運用の方法の内容について、正確な判断を行うに必要な事項を包括的に示さず一部のみを表示すること。

 ③ 運用の方法の内容について、長所のみをことさらに強調したり、長所を示す際にそれと不離一体の関係にあるものを併せて示さないことにより、あたかも全体が優良であるかのように表示すること。

 ④ 社会通念上又は取引通念上同等の商品として認識されない運用の方法間の比較について、あたかも同等の種類との比較であるかのように表示すること

(8)主務省令第10条第7号関係

主務省令第10条第7号の「運用の指図を行う際にその判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」としては、例えば、施行規則第20条第1項各号に掲げる事項が該当すると考えられるほか、以下のような行為を行った場合には、同号に該当すると考えられるため、これらに留意すること。

 ① 施行規則第20条第5項の「金融機関の業務及び財産の状況に関する説明書類」に記載された数値又は信用ある格付機関の格付(以下「客観的数値等」という。)以外のものを用いて、当該金融機関の資力、信用又は支払能力等に関する事項を表示すること。

 ② 使用した客観的数値等の出所、付された時点、手法等を示さずその意味について、十分な説明を行わず又は虚偽の説明を行うこと。

 ③ 表示された客観的数値等が優良であることをもって、当該運用の方法の元本の支払が保証されていると誤認させること。

 ④ 一部の数値のみを取り出して全体が優良であるかのように表示すること

(9)主務省令第10条第9号関係

主務省令第10条第9号の「運営管理契約の相手方の判断に影響を及ぼすこととなる事項(法第100条第4号の政令で定めるものを除く。)」には、例えば、次のものが該当することが考えられる。

 ① 確定拠出年金運営管理機関である法人の信用及び財産の状況

 ② 当該確定拠出年金運営管理機関と運営管理契約を締結した場合に必要となる手数料その他の費用の内容及びその負担の方法に関する情報

(10)主務省令第10条第10号関係

主務省令第10条第10号の「当該企業型年金加入者等の判断に影響を及ぼすこととなる事項」には、例えば、次のものが該当することが考えられる。

 ① 令第51条各号に掲げる事項

 ② 確定拠出年金運営管理機関である法人の信用及び財産の状況

 ③ 当該確定拠出年金運営管理機関を選択した場合に必要となる手数料その他の費用の内容及びその負担の方法に関する情報

(11)主務省令第10条第11号関係

主務省令第10条第11号の「当該個人型年金加入者等の判断に影響を及ぼすこととなる事項」には、例えば、次のものが該当することが考えられる。

 ① 令第51条各号に掲げる事項

 ② 確定拠出年金運営管理機関である法人の信用及び財産の状況

 ③ 当該確定拠出年金運営管理機関を指定した場合に必要となる手数料その他の費用の内容及びその負担の方法に関する情報

 (注)確定拠出年金の運用の方法以外の金融商品と異なり、個人型年金加入者等が、個人型年金加入者等である期間中、個別の運用の方法に係る手数料以外に、運営管理業務、事務委託先金融機関の業務及び国民年金基金連合会の業務に係る費用も負担することを明示すること。

 ④ 確定拠出年金の老齢給付金の受給開始時期及び脱退一時金の支給要件

 (注)確定拠出年金の運用の方法以外の金融商品と異なり、個人型年金加入者等は、60歳から老齢給付金を受給することができその前に脱退一時金を受給することはできないこと及び50歳超で個人型年金加入者等となった場合、通算加入者等期間に応じて、老齢給付金の受給開始時期が60歳より遅くなることを明示した上で、確定拠出年金制度は高齢期の所得確保を目的とした制度であることを説明すること。

 また、その際には、確定拠出年金制度は高齢期の所得確保を目的とした制度であることから、個人の現役時代の生活設計を勘案しつつ、老後の生活設計や資産形成の計画等を踏まえ、確定拠出年金制度に加入するかは個人で十分に検討する必要がある旨説明すること。

(12)行為準則に関する留意点

加入者等の権利が不当に侵害されないよう運営管理機関の行為準則が設けられた趣旨に鑑み、加入前の者に対して行為準則に反する行為が行われることにより、その者が加入者等となった場合、その加入者等の権利が侵害されることのないよう留意すること。

3.確定拠出年金運営管理機関の業務管理態勢

確定拠出年金運営管理機関は、もっぱら加入者等の利益のみを考慮し、加入者等の利益が最大となるよう、法令及び社内規則等を遵守し、健全かつ適切な業務運営を行うことが求められることから、法令及び社内規則等の適正な遵守を確保するための態勢を整備しなければならない。特に、下記の事項に留意すること。

(1)運用関連業務が適切に行われるよう社内規則等を定めるとともに、運用関連業務を行う役職員(運用の方法の提示又は情報を提供する営業職員を含む。)への周知を行っていること。

(2)法令及び社内規則等の遵守状況を検証する態勢を整備していること。

(3)運用関連業務を行う役職員(運用の方法の提示又は情報を提供する営業職員を含む。)が、当該業務及びその前提となる確定拠出年金制度に関する十分な知識を有するよう、研修等を行っていること。

(4)加入者等から申出があった苦情等に対し、迅速・公平かつ適切に対処する態勢を整備していること。

(5)第9.2(1)⑦の態勢を整備していること。

また、確定拠出年金運営管理機関が運営管理業務に付随する事務の一部を他の者に委託する場合に、委託先の選定基準が適切に定められていること。また、委託先の業務遂行能力や、法令及び契約条項の遵守状況について継続的に確認できる態勢が整備されていること。さらに委託先の業務遂行能力に問題がある場合における対応策(業務の改善の指導、委任の解消等)を明確に定めていること。

第10 事業主による確定拠出年金運営管理機関の定期的な評価

1.事業主による確定拠出年金運営管理機関の定期的な評価の考え方

事業主は、企業型確定拠出年金制度を実施する主体であり、もっぱら加入者等の利益のみを考慮し、確定拠出年金運営管理機関を選定することが必要である。

この点、制度発足時点で評価した確定拠出年金運営管理機関の体制や運用の方法がその時点で望ましいものであったとしても、期間の経過により、必ずしもそうでない体制や商品になることがありうる。こうした点を制度の実施主体として、自身で点検・確認し、確定拠出年金運営管理機関との対話等を通じて、改善していくことが必要である。このため、事業主は、確定拠出年金制度を導入した後も、法第7条第4項に基づき、少なくとも5年ごとに、確定拠出年金運営管理機関の運営管理業務の遂行状況について評価を行い、運営管理業務の委託について検討を加え、必要があると認めるときは、確定拠出年金運営管理機関の変更その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。なお、第9.1(1)⑦において、事業主は、確定拠出年金運営管理機関等から、その業務の状況等について、年1回以上定期的に報告を受けること等が記載されているが、これらの報告内容についても、定期評価の際に考慮した上で、確定拠出年金運営管理機関の評価を行うことが望ましい。

点検すべき項目や手法については、その企業の規模や加入者等の構成、制度導入からの定着度、投資教育の充実度等により、それぞれの事業主において異なると考えられるが、少なくとも運営管理業務に係る下記2の事項について報告を受け、確定拠出年金運営管理機関の運営管理業務の遂行状況について評価を行い、当該報告内容及び評価の内容を加入者等に対して開示することが望ましい。

2.具体的な評価項目

確定拠出年金運営管理機関により運用の方法が選定された時点から時間が経過しても、なお、加入者等にとって最適な運用の方法が選定されているかを確認することが求められることから、以下の点が評価項目として考えられること。

 ① 運用の方法に関する第9.1(1)②の事項

 ② 確定拠出年金運営管理機関による運用の方法のモニタリングの内容(商品や運用会社の評価基準を含む。)、またその報告があったか

 ③ 加入者等への情報提供がわかりやすく行われているか(例えば、コールセンターや加入者ウェブの運営状況)

 また、確定拠出年金制度を長期的・安定的に運営するには、運営管理業務を委託する確定拠出年金運営管理機関自体の組織体制や事業継続性も重要となることから、運営管理業務の運営体制、確定拠出年金運営管理機関の信用及び財産の状況等も評価項目とすることが考えられること。

 なお、上記の通り、定期的な評価は、事業主が主体的・俯瞰的に再点検し、確定拠出年金運営管理機関との対話等を通じて、制度の是正又は改善につなげていくべきものであり、点検すべき項目や手法については、その企業の規模や加入者等の構成、制度導入からの定着度、投資教育の充実度等により、それぞれの事業主において異なると考えられることから、上記項目以外であっても、確定拠出年金運営管理機関から運営管理業務に付随して提供を受けているサービス(例えば、投資教育を委託している場合の投資教育の内容や方法等)で点検すべき項目があれば、当該項目についても評価することが望ましい。

第11 企業型年金の加入者の資格の喪失が見込まれる者に係る個人別管理資産の移換に関する事項

1.事業主は、加入者の資格の喪失が見込まれる場合には、その資格の喪失が見込まれる加入者に対して、次の事項等について十分説明すること。

(1)法第80条及び第82条の規定による他の企業型年金若しくは国民年金基金連合会への個人別管理資産の移換、法第54条の4の規定による確定給付企業年金への個人別管理資産の移換又は法第54条の5の規定による企業年金連合会への個人別管理資産の移換を行う旨の申出は、資格を喪失した日の属する月の翌月から起算して6月以内に行うこと。

(2)上記(1)の申出を行わない場合には、①~③のいずれかの取扱いがされること。

 ① 法第80条第2項の規定により、当該企業型年金に個人別管理資産があり他の企業型年金の加入者の資格を取得している場合には、新たに資格を取得した企業型年金へ個人別管理資産が自動的に移換されることとなること。

 ② 法第83条及び施行規則第65条の規定により、当該企業型年金に個人別管理資産があり個人型年金加入者等の資格を取得している場合には、個人型年金へ個人別管理資産が自動的に移換されることとなること。

 ③ 法第83条の規定により、個人別管理資産が国民年金基金連合会(特定運営管理機関)に自動的に移換され、連合会移換者である間、運用されることのないまま、管理手数料が引き落とされることとなること。その際、当該期間は通算加入者等期間に算入されないことから、老齢給付金の支給開始可能な時期が遅くなる可能性があること。

(3)企業型年金加入者の資格を喪失した者(2及び第12において「資格喪失者」という。)が、確定給付企業年金の加入者の資格を取得した場合には、資格を喪失した日の属する月の翌月から起算して6月以内であれば法第54条の4の規定により確定給付企業年金への個人別管理資産の移換を行うことができること。また、法第83条の規定により、個人別管理資産が国民年金基金連合会(特定運営管理機関)に自動的に移換されている者が、確定給付企業年金の加入者の資格を取得した場合には、法第74条の4の規定により確定給付企業年金への個人別管理資産の移換を行うことができること。

なお、確定給付企業年金の本人拠出相当額は拠出時に課税、給付時に非課税の取扱いである。企業型年金の本人拠出相当額は拠出時に非課税の取扱いであることから、確定給付企業年金へ移換する個人別管理資産に企業型年金の本人拠出相当額を含む場合であっても、確定給付企業年金の本人拠出相当額としての取扱いではなく、給付時に課税されることとなること。

(4)法第54条の4又は第54条の6の規定による企業型年金から確定給付企業年金又は退職金共済への個人別管理資産の移換を行う場合にあっては、移換先の制度の制度設計上、確定拠出年金に加入していた期間(勤続年数を含む。)が移換先の制度設計に合わせた期間に調整される可能性があること。

また、企業型年金の個人別管理資産に係る期間(当該個人別管理資産に厚生年金基金、確定給付企業年金、企業年金連合会、国民年金基金連合会、退職金共済又は退職手当制度から移換してきた資産を含む場合は当該資産に係る期間を含む。)は通算加入者等期間から控除されることとなること。ただし、企業型年金及び個人型年金に同時に加入する者であって、企業型年金の個人別管理資産のみ移換する場合には、個人型年金の加入者期間に影響はないこと。

2.令第46条の2の規定により、資格喪失者に係る記録関連業務を行う記録関連運営管理機関は、資格喪失後一定期間を経過した後においても移換の申出を行っていない資格喪失者に対し、資格喪失者の個人別管理資産が移換されるまでの間、当該申出を速やかに行うよう適時に促すこととされているが、事業主においても、資格喪失者が当該申出を速やかに行うよう適時に促すべく努めること。
3.法第54条の6の規定による企業型年金から退職金共済に個人別管理資産を移換できる場合について、同条に規定する「合併等」とは、施行規則第31条の5の規定により企業型年金を実施する事業主が中小企業退職金共済法第31条の4第1項の規定による申出を行っていない共済契約者(同法第2条第3項に規定する退職金共済契約の当事者である事業主をいう。)との間で実施する施行規則第31条の5に定める会社法の規定による行為のほか、中小企業退職金共済法施行規則(昭和34年労働省令第23号)第1条に規定する国又は地方公共団体に準ずる者を除く法人の設立を定める特別の法律の規定に基づくものであって、当該行為と同等とみなされるものであること。

第12 企業型年金の加入者の資格を喪失した者に係る脱退一時金の支給の請求に関する事項

企業型年金を実施する事業主は、厚生年金基金等からの資産移換又は脱退一時金相当額等の移換が見込まれる企業型年金加入者が、当該資産の移換前に資格喪失した場合には、当該資格喪失者に対して、確定拠出年金制度が老後のための年金制度であることに鑑み、脱退一時金の支給を請求せずに、移換が見込まれる資産と合わせて引き続き個人別管理資産を運用することが望ましいことを十分説明すること。